東北大災害科学国際研究所は8日、能登半島地震の調査報告会をオンラインで開いた。1月の地震発生時、帰省や旅行などで石川、富山、新潟の3県に滞在していた人のうち、半数が避難行動を取る際の判断基準を事前に決めていなかったとの調査結果を明らかにした。
3月21~27日に東京都などに住む20歳以上を対象にインターネット調査を実施し、966人が回答した。避難の判断基準について50・2%が「特に決めていなかった」と回答。「あらかじめ帰省先や旅行先が決めていた」は29・8%、「あらかじめ自分で決めていた」は20・0%だった。
特に決めていなかった人が実際に逃げるかどうかの判断基準(複数回答)としたのは、「大きな揺れ」が49・9%と最も多く、「避難指示の発令」が33・3%、「津波注意報の発表」が27・2%と続いた。
建物外や高台などへ実際に避難した人は64・5%。避難しなかった人のうち、6人に1人が「どこに避難していいか分からなかった」と回答した。
佐藤翔輔准教授(災害情報学)は「帰省や旅行先であっても自治体のハザードマップを確認し、避難行動に移せるようにする姿勢が欠かせない」と述べた。
災害派遣精神医療チーム(DPAT)として石川県珠洲市に入った国井泰人准教授(災害精神医学)は、地震発生から約1カ月間にあった延べ186件の相談内容を報告した。
「地震が怖くて入浴できない」「両親を置いて逃げた罪悪感で眠れない」といった悩みが寄せられた。「東日本大震災と同様、精神的な悩みは長期間にわたり続く。息の長い支援が必要だ」と指摘した。