脱毛する男性が急拡大のワケは? 若者だけでなく40代の脱毛も増加

9月に発表されたクロス・マーケティングの調査によると、この1年間で脱毛をしたという男性が10代で20%、20代で18%、30代で19%と、それぞれの世代でおよそ2割に上っています。専門のクリニックなどでも利用者が急増しています。なぜ今、脱毛をする男性が増えているのでしょうか。 「脱毛は体験だけ1回ある。頬とか」(20歳) 「腕とか脚とか、半年くらい前からやっている」(20歳) 東京・渋谷で男性50人に聞いたところ8人、およそ2割の人が脱毛を経験していました。なぜ男性の脱毛が増えているのか、渋谷にある男性専用の美容クリニック「ゴリラクリニック 渋谷院」を取材しました。 「ゴリラクリニック」は全国で20ヵ所を展開する男性専用の美容クリニックで、平日の昼すぎに訪れると多くの利用者で賑わっていました。同クリニックへの来院者はこの2年で1.9倍となる約65万人に増え、脱毛目的の20代や30代が特に多いといいます。 実際に施術の様子をのぞいてみると…。 「これは今、どういった状況ですか」(中垣正太郎キャスター) 「あごの照射を行っています」(看護師) 受けていたのはヒゲ脱毛。あごや鼻下などにレーザーを照射して発毛組織を破壊してきます。レーザー脱毛は医療行為に当たるため、医師の管理下の施術が必要です。 レーザーを使えばいわゆる永久脱毛もできるといいますが、施術中の男性は「めちゃくちゃでかい輪ゴムでバチンと弾かれる痛みが連続で来る感じ。結構痛いです」といい、顔の周りが特に痛みが強いといいます。 施術を終えた男性は2年前から通っているといいますが、そもそもなぜ脱毛を始めたのでしょうか。 「美意識ではないが、周りから肌綺麗だねとか、毛がなくて清潔だよねと見られたい」(26歳) ほかの男性にも聞くと「仕事は営業職。お客さんと初めて対面するような時に『思ったより印象が若々しいね』と言ってほしい」(26歳)と、男性の美意識の高まりが脱毛を後押ししているようです。 ゴリラクリニックの稲見文彦総院長は「今まで自分の外見を気にするのは『男性はそういうものではない』と『中身で勝負だ』という考え方が多かった。その意識が変わってきた」と話します。 このクリニックではヒゲは7万4800円(6回)、全身+VIOで46万4800円(5回)かかります。高額ですが、なぜ利用者が増えているのでしょうか。 「コロナ禍の影響がある。今まで外食やレジャーにかけていた金銭的リソースが余る。じゃあ、自分の外見に投資しよう、自己投資で使おうと考えた人が多い」(ゴリラクリニックの稲見総院長) さらに稲見総院長によれば、コロナ禍では「レーザー脱毛は多少赤くなる。今まではできなかったが『マスクがあるから大丈夫』となる人も増えた」といいます。 脱毛を希望する男性は若者だけではありません。休日、予約でいっぱいのクリニック「メンズリゼ新宿南口」では、「41歳。全身脱毛している」「49歳。デリケートゾーンをやって、今は上半身下半身」と、40歳以上の来院者が4年前と比べて4.9倍に増えているのです。一体なぜなのでしょうか。 医療脱毛専門院「メンズリゼ」の赤塚正洋総院長は「レーザー脱毛は毛の黒い色素、メラニン色素に反応して熱が伝わる。毛が白くなるとレーザーを当てても脱毛の効果が出ない」といい、自分が介護されることなどに備え、毛が白くなる前に施術を受けようと駆け込む中年男性が多いといいます。 一方で男性のニーズを捉えた新たなビジネスも生まれています。都内の雑居ビルの一室を訪ねると、無人の空間に機械が1つ。受付やスタッフはいません。 実はこの店「ハイジ」は、客が自分で脱毛するセルフ脱毛サロンです。家庭用でも使われる光脱毛式で、レーザーに比べ効果は一時的ですが、月額1万800円(新宿西口、最低3ヵ月契約)の定額プランで月に何回も通えるのが特徴です。 また、この店では客の7割が男性だといいます。なぜ男性が多いのでしょうか。 「男性は人から脱毛されることに慣れていない。恥ずかしいと思う割合が女性に比べ高い印象です」(「ハイジ」の斎藤一誠SEO) 3年前に開業したこちらのサロン、現在都心を中心に50店舗を運営していて、来年中に180店舗まで増やす計画です。 「ブームは通り過ぎて、男性脱毛は当たり前、一般化している。それをカバーできるだけの店舗数がまだ足りない」(前述の斎藤SEO) 一方、脱毛が増える中で、トラブルも増えています。国民生活センターによると、やけどなどのトラブルは2021年度には281件、解約・返金をめぐる相談も増えています。脱毛の効果には個人差があり、リスクなどについて十分に理解することが大事だといいます。 ※ワールドビジネスサテライト

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