ちょっと驚くタイトルの漫画が出版された。
その名も「生理ちゃん」。おおっぴらに語られることが少ないテーマに娯楽として正面から取り組んだ作品だ。しかも、作者はなんと男性だが、静かに幅広い共感を呼んでいる。どんな作品なのか。
「生理ちゃん」は小山健さんによる漫画。ウェブメディア「オモコロ」に掲載されて話題になり、累計の閲覧数は800万を突破。人気に目をつけたKADOKAWAが6月に書籍化した。東京・新宿の書店では先月、初のサイン会が開かれ、若い女性や家族連れなど100人近くが集まった。「どうしてそんなに生理のことがわかるんですか」「私は出血量が多くて……」。単行本にサインをしながら、小山さんはファンとふれ合った。
生理ちゃんは月に一度、女性の元にふらりとやってくるキャラクターだ。容赦なく「生理パンチ」を腹部にお見舞いし、注射器で血を抜き取る。生理パンチは女性が生理痛に襲われる様子を表現。「月のものがおしおきよ」などと決めぜりふを繰り出し、時に厳しくも優しい言葉で女性たちに寄り添う。生理痛と仕事の両立に苦しむ人を見て「女性は生理があるから大変だよね」という男性に、生理ちゃんはこう返す。「大変なのを生理を理由にできないのが大変なんですよ」
サイン会に来た東京都板橋区の松浦あゆみさん(29)は生理痛に悩む自分の姿を投影させながら読んだという。「生理のつらさって声を大にして言えるものではない。今まで女性だけでひそかに言い合っていたことを、男性がこんなにわかりやすく描いてくれるなんて! ただおもしろいだけでなく、ほっこりする。女友達に勧め、旦那にも読ませています」と話した。
KADOKAWAの担当編集者、青木香里さんは、笑えるだけでなく、思わず泣ける物語や胸に響く名言がたくさんちりばめられていることが生理ちゃんの魅力ではないかと考える。
「毎月大なり小なり煩わされている生理について、もっと誰かと話したいと思っている女性が、実は多かったのかなと思いました。今なおタブー視されることも多く、社会的に可視化されにくいしんどさについて、『そうそう、こんな風につらいんだよ』と共感できる喜びがある。男性にも理解のきっかけを与えてくれる作品だと思います」(矢田萌)