消費税率引き上げ後の販売低迷で、自動車メーカーが足元の生産を抑制する動きが出ている。ホンダは埼玉製作所狭山工場(埼玉県狭山市)で10、11月の金曜日の操業を休止し、完成車の在庫を削減する方針。トヨタ自動車や日産自動車も休日出勤や残業を減らし、生産を調整している。自動車の国内生産がさらに落ち込めば、力強さに欠ける国内景気に打撃を与えかねない。
ホンダはミニバンやセダンなどを生産している狭山工場で、10月の最終金曜日と11月の毎週金曜日の操業を休む。計画していたほど販売が伸びず、在庫が積み上がっているからだ。
休止した分は12月以降、休日出勤に振り替え、生産水準を戻す。それでも、約100万台としていた今年度の国内販売計画の達成は難しいとみられる。
ホンダは海外への生産移転を進めており、国内販売が減少すれば国内工場がしわ寄せを受けるが、「平日の特定の曜日を休業にするのは珍しい」(自動車大手幹部)という。
もっとも、国内の販売低迷で減産を余儀なくされているのは他社も同様だ。
トヨタの国内生産は4月以降、前年割れが続いており、「休日出勤や残業を減らすなどして、日々の生産台数を調整している」(同社)。日産や三菱自動車も休日出勤を減らすなどの対応をとっている。
日本自動車販売協会連合会などによると、9月の国内新車販売は前年同月比0.8%減の51万8774台と落ち込んだ。軽自動車は2.5%増とプラスを維持したが、「半期末のノルマをこなすため、ディーラーが自社でナンバー登録して転売する“未使用車”を増やした」(業界関係者)ことも一因とみられる。
増税後の買い控えが想定以上に長期化し、販売店では来店客数や新規受注が落ち込んでいる。各メーカーは新型車の投入などで、てこ入れする構えだが、軽自動車税の2015年度分からの引き上げなども予定されており、先行きは不透明なままだ。メーカーからは「市場をキープするため、税制面などで(国に)サポートしてほしい」(大手幹部)との声も漏れ始めた。
自動車産業は製造業全体の出荷額の約2割を占め、部品メーカーなど裾野は広い。販売低迷が長期化し、減産の動きがさらに広がるようなら、日本経済に与える影響は大きい。