自動車大手労組、月額1万円超の賃上げ要求相次ぐ…春闘本格化

自動車大手の労働組合が15日、賃上げを求める要求書を経営側に提出し、2023年春闘が本格的に始まる。今年は約40年ぶりとなる急激な物価高に見舞われる中、月額1万円を超える賃上げ要求が相次ぐ。3月15日の集中回答日に向けた労使交渉で、物価上昇を超える賃上げを実現できるかが焦点となる。 【図表】賃上げをめぐる経営者たちの意見

 SUBARU(スバル)労働組合の幹部は午前10時過ぎ、中村知美社長に要求書を手渡し、前年要求の約1・6倍となる月1万200円の賃上げを求めた。ダイハツ労組も、前年の約1・5倍となる月1万1200円の要求書を経営側に提出した。

 ホンダの労組「本田技研労働組合」は、基本給を底上げするベースアップ(ベア)で昨年の4倍超となる月1万2500円を求める。要求額は1993年(月1万4200円)以来、30年ぶりの高水準となる。最大手のトヨタ自動車労組は、1人あたりの平均賃上げ要求額を「過去20年で最も高い水準」とする。

 各労組が強気の要求を掲げるのは、物価高で家計の負担が増しているためだ。総務省によると、昨年12月の全国消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合で前年同月比4・0%上昇した。第2次石油危機の影響が残る81年12月以来、41年ぶりの伸びとなった。

 原材料費の高騰や円安で、飲食料品など幅広い生活必需品の値上がりが続いている。各自動車労組が加盟する「自動車総連」の金子晃浩会長は「企業の生産性向上に向けて(従業員の)生活の安心・安定の確保は欠かせない」と強調する。

 連合はベアで3%程度、定期昇給分を含め計5%程度の賃上げを求めている。電機各社の労組でつくる「電機連合」は前年の2倍超となるベア7000円以上、主に中小企業の労組でつくる「ものづくり産業労働組合(JAM)」もベア9000円を求める方針だ。業界のすそ野が広い自動車大手の動向は春闘相場に大きな影響を与えるため、各社が積極的な賃上げに踏み切るかが注目される。

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