自動車大手8社の平成22年3月期連結決算が12日、出そろった。営業損益で4社が赤字だった21年3月期から一転して、全社が黒字を確保した。いち早く経営資源をハイブリッド車などの環境車に集中させたホンダと、中国での販売好調が際立った日産自動車は、3千億円台の営業利益を計上した。
各社とも中国、インドなど新興国での販売増が収益を下支えした。また、コスト削減も徹底しており、2年ぶりの営業黒字となったトヨタ自動車では、原価改善と固定費の削減で1兆円近く収益を改善させた。ホンダも販管費やコストの削減が、約5千億円の増益要因となった。
最終損益ではマツダと富士重工業が赤字だったが、23年3月期は全社が黒字を予想。これまで抑制していた研究開発費もトヨタが5%増、ホンダが8%増と増額するなど攻めの姿勢も表れてきた。日産のカルロス・ゴーン社長は12日の決算会見で「今期は完全に危機から脱する」と強調した。
ただ、各社がこのまま回復軌道に乗れるかどうかは不透明だ。
国内では、9月末にエコカー購入補助金が打ち切られる反動減が予想される。韓国・現代自動車の台頭などにより、世界での販売競争は激化の一途をたどる。スズキは今期、鋼材価格の上昇で70億円の負担増を織り込むなどコスト上昇懸念も強まっている。
ギリシャの財政危機の影響で「今期は欧州で自動車需要が10%減る」(ゴーン社長)との見方もあり、金融危機後の自動車不況からの本格回復にはなお曲折が予想されている。