岩手県と宮城県は12日までに、政府の構造改革特区で、国の規制値より長い全長21メートルトレーラーで完成車を輸送できる「いわて・みやぎ自動車輸送特区」を申請した。トヨタ自動車グループの関東自動車工業岩手工場(岩手県金ケ崎町)から釜石港や仙台港までの完成車輸送を効率化するのが狙い。年内に認定される見通しで、来年秋ごろから輸送業者が試験走行する。
両県連名による特区申請は初めて。来年1月にはトヨタグループのセントラル自動車(相模原市)の新本社工場が宮城県大衡村で稼働することから、同工場からの輸送での利用も想定される。
申請したのは、道路法に基づいて国や自治体が2年ごとに通行を許可している自動車運搬用フルトレーラー連結車の長さの限度。現行の上限19メートルより2メートル長くする内容で、上下2段の積載台数は現行の6台程度から8台程度に増える。
特区が認定されれば通行許可手続きがスムーズになる。対象は、関自工岩手から仙台港や釜石港に至る東北自動車道沿線地域など、岩手県内12市町と宮城県内8市町村とした。
同特区は、21メートルフルトレーラーの製造を予定する特殊車両製造の浜名ワークス(浜松市)が民間提案し、内閣府が今年6月に特区メニューに加えた。関自工岩手からの完成車輸送での利用も見込まれるため、両県が特区申請することにした。
両県は「輸送業者のコスト削減や二酸化炭素(CO2)排出量の低減が図れるほか、周辺の渋滞緩和にもつながる。特区認定を東北の自動車産業集積のさらなる弾みにもしたい」と話している。
宮城県によると、トヨタグループの完成車製造工場を抱える静岡、愛知、福岡各県も同特区を申請しているという。