自動車大手7社が研究開発費を積み増している。2018年3月期の通期計画では、全社が前期実績を上回り、三菱自動車が20%増、スズキとSUBARU(スバル)が14%増、マツダが10%増と4社が2桁増を見込む。環境規制を視野に入れた電気自動車(EV)などの次世代車や、自動運転につながる先進安全技術の研究開発を加速するためだ。
1070億円を研究開発費に投じる三菱自の益子修最高経営責任者(CEO)は「電動化、自動運転、コネクティビティ(インターネットでつながる車)など、開発競争は質的にも量的にもこれまでと全く異なるものになる」と話す。また、「単独での対応には限界がある」として昨年、出資を受け入れた日産自動車との連携強化を背景に、設備投資と合わせて3年間で6000億円以上投じる計画だ。20年3月期の研究開発費は、17年3月期実績比1.5倍の1330億円に増やす。
足元でガソリン車やハイブリッド車(HV)を中心とした熾烈(しれつ)な販売競争を繰り広げながら、次世代技術の研究開発を充実しなければならないという状況は、最大手のトヨタ自動車も同じ。18年3月期に前期比2%増の1兆600億円の巨額を研究開発費に充てるが、「中長期的には、自動運転や燃料電池、EVなど先端技術の開発が大きな負担になる」(永田理副社長)という。
17年4〜9月期に過去最高益を達成したスズキの鈴木俊宏社長も「課題はHV、EVへのシフトだが、研究開発費などが収益を圧迫する」と懸念する。18年3月期では、研究開発費の増加が190億円の利益下押し要因になる見通しだ。
トヨタがマツダ、デンソーと開発会社を設立し、スズキやスバルが参加を検討する「EV連合」も、投資額を抑えられるという狙いがある。次世代技術を視野に入れた連携や協業は、今後も進みそうだ。