自宅でできるコロナ対策、窓開け掃除NGや玄関での水際対策を

《全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について来週3月2日から春休みまで、臨時休業を行うよう要請する》

【丸わかり】部屋のエリア別、新型コロナを寄せ付けない掃除法

 2月27日、政府が発表した前代未聞の要請に、日本中の家庭に激震が走った。28日には北海道が緊急事態を宣言し、東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンも相次いで休園を発表。

 リモートワークを導入する企業も日を追うごとに増えており、新型コロナウイルスの猛威が私たちの日常生活に入り込んできたことを強く感じずにはいられない。職場も交通機関もイベントも学校もそして病院も、どこにいてもウイルスの感染リスクがあるとなると、最後の砦となるのはわが家しかない。

 だが、それにも不安の声があがる。神奈川県に住む佐藤恵子さん(45才・仮名)もその1人。

「家の中って本当に安全なのでしょうか。豪華客船『ダイヤモンド・プリンセス号』のように、一度外からウイルスが入ってしまったら、家族に次々と感染してしまうのではないかと不安で仕方ありません。うちはノロウイルスに一家全員が感染した経験があるので特に警戒しています」

 病原体たるウイルスは目に見えないだけに、佐藤さんのように対策に不安を抱く人は少なくない。加えて、食中毒や炎症の原因となりうる細菌は室温20℃で増え始め、温度が上がるのに比例して増殖するといわれている。自宅待機で家に人が密集して、その上長時間暖房を使っていれば、細菌が増えることも懸念される。

 しかし収束の見通しが立たないなか、この先、長期にわたって自宅待機をすることになる可能性は多いにある。そんなとき、どうしたら家族の健康を守ることができるのだろうか。

◆窓を開けての掃除は逆効果

 まずは病院清掃のエキスパートの話を聞いてみよう。ウイルスや細菌などさまざまな病原体を持った患者が訪れる可能性があり、かつ高齢者や有病者など感染症にかかりやすい人が集まる病院は、一般オフィスビルと比べると格段に高い衛生管理が要求される。そんな総合病院の清掃管理者を長年務めた経験を持ち、「健康を守るお掃除士」として活動する松本忠男さんが、病原体から家を防御するコツを伝授する。

「敵を知るところから始めましょう。未解明の部分が多いですが、新型コロナウイルスは環境によっては1週間以上も活性を保つといわれています。24時間しかもたないインフルエンザウイルスと比べて、かなり長い。

 つまり、ひとたびウイルスが外から持ち込まれれば1週間もの間、感染させる力を持ち続けるわけで、家の中だから安全ということはないのです。感染者が続出したクルーズ船は、手すりなどについたウイルスが活性を保っていたからこそ、あそこまで感染が広がったのではと推察しています」

 こう聞くと、すぐにでも窓を全開にしてウイルスを追い出しながら、家中を拭いて回りたい気持ちになる。しかし、やみくもに掃除しても意味がない。それどころか、逆効果になってしまう場合もある。

「掃除するとき、換気のために窓を開ける人がいますが、ウイルスや細菌への対策としてはやってはいけないことの1つです。病原体を吸ったほこりが風で舞うことになり、結果として家中にまき散らしてしまうことにつながるのです」(松本さん・以下同)

 では、具体的にどこをどうやって掃除するべきなのか。

◆玄関は、“水際対策”

 まず、家の中にウイルスを持ち込まないため玄関での“水際対策”を徹底すべきと松本さんは言う。

「外出から戻った人の髪や衣服、マスクにもウイルスが付着している可能性がある。かといって、コートなどをパタパタと叩くのは危険。玄関の外だとしても、舞い上がったウイルスを吸ってしまうリスクがある。たとえマスクをしていても、ウイルスはメッシュの隙間から容易に入り込んでしまいます」

 ではどうすればいいのか。

「掃き掃除を含め、舞い上がらせないようにしましょう。すなわち、水で洗い流すのがいちばん。衣服はウエットティッシュでポンポンと叩くようにして、ある程度除去してから家に入った方がいい」

 玄関での“水際対策”を実践している医療関係者は少なくない。ちくさ病院の内科医、近藤千種さんは、流行期以外も家族揃って以下の対策を習慣化している。

「わが家では年間を通して、コートなど外に着ているものと靴下を玄関で脱いで洗濯かごに入れたら、そのままどこにも触らずに手を洗うルールになっています。それ以外にも、子供が学校で使った筆箱などもアルコール消毒剤を使って拭くなど、病原体を玄関より内側に入れないよう心がけています」(近藤さん)

◆洗面所にはペーパータオル

 玄関での対策を済ませたら、次は、洗面所での手洗いだ。石けんをよく泡立てて、手の甲や指の間、親指などもしっかり洗うなど、感染症予防の手洗い方法はテレビでも何度も紹介されている。しかし見落としがちなのは、その後だ。

 耳鼻科医の木村聡子さんは「タオルがウイルスを媒介するシステムになりかねない」として、こうアドバイスする。

「手を洗った後に拭くものは、できれば使い捨てのペーパータオルにした方がいい。通常のタオルで新型コロナウイルスがどのくらい活性を保つのかはまだはっきりしませんが、湿ったタオルは細菌にとっても繁殖しやすい環境。家族中に病原体をまき散らすことにもつながりかねません」

 通常のタオルを使う場合、1人1回限りの使用にして洗濯することをすすめる。普段通りに洗うだけで充分落ちるが、ウイルスは熱に弱いため乾燥機で熱を加えることでより不活性化させられるそうだ。

 東邦大学医療センター大橋病院の婦人科医、高橋怜奈さんもペーパータオルを推奨する。

「水回りは雑菌が繁殖しやすい。手を洗った水道の蛇口を締める際も、ペーパータオルごしにやるのがベスト。外出先でも徹底したい」

※女性セブン2020年3月19日号

タイトルとURLをコピーしました