自治体がパソコンで使用する有料ソフトを、インターネット上で配布されている無料ソフトに切り替える動きが広がっている。不況で税収減に悩む自治体にとって手っ取り早いコスト削減策で、導入を後押しする企業関係者からも「無料ソフトの機能は向上している。この流れは今後も拡大していく」との声が上がる。
■5年で1500万円
インターネットを通じた届け出の受付など事務作業のIT化に積極的な福島県会津若松市はワープロや表計算ソフトに、マイクロソフト社の有料ソフト「オフィス」を使っていたが、平成19年から庁内のパソコンすべてに同種の無料ソフト「オープンオフィス」を導入した。
オフィス(通常版)は新たに購入すると6万円近くかかり、定期的に使用権の更新料も必要だが、オープンオフィスを導入すれば、すべて無料になる。
同市では対外的なデータのやりとりに備え一部のパソコンにオフィスを残したままだが、それでも5年間で1500万円のコストダウンを見込んでいる。
■機能は有料並み
大阪府箕面市でも教員用の約400台のパソコンや、授業で子供が使う1千台を超えるパソコンにオープンオフィスを採用。教員用パソコンは基本ソフト(OS)も有料のウィンドウズから無料のリナックス系ソフトに切り替えた。
同府八尾市ではオープンオフィスを試験的に使用している。担当者は「ここ数年で、無料ソフトの機能や使い勝手が有料ソフト並みに向上している」と話す。職員数が多い都道府県や政令指定都市でも山形県、横浜市などで導入の動きがある。
自治体にオープンオフィス導入をサポートしている企業「グッデイ」(大阪市)の担当者は「オープンオフィスのデータ形式は国際標準規格に適合している。公的文書のデジタルデータが増えていく中、長期保存という面からも問題はない。導入拡大の流れは今後も進んでいくだろう」と話している。