自治体向けネット構築 東北大、栗原で実証実験へ

 東北大の白鳥則郎名誉教授の研究グループは13日、遠隔地にも効率よく多様な行政サービスを提供できる情報通信ネットワークの構築を目指し、栗原市やNTT東日本などと共同で実証実験を始めると発表した。過疎地を抱える面積の広い自治体向けのシステムとして、世界標準となるネットワークのあり方を探る。
 東北大と栗原市などが本年度、総務省の「ネットワーク統合制御システム標準化推進事業」の委託を受けて実施され、事業は国からの委託費2億5700万円で賄われる。
 市は同日、白鳥名誉教授が客員教授を務める東北大電気通信研究所と研究開発の協力協定を結んだ。実証実験には、ほかにNTTファシリティーズ(東京)、日立東日本ソリューションズ(仙台市)も参加する。
 実験内容は、主に(1)無線端末やテレビ会議システムなどによる遠隔地への行政サービスや生活支援サービスの提供(2)全行政施設のエネルギー消費を最小化させるための一元的制御―の2点。
 栗原市は宮城県内で最も面積が大きく、総合支所は10カ所に分散している。行財政改革に伴い、将来的に支所の再編も予想されることから、住民の移動コストを最小限にして利便性を高めるため、コミュニティーセンターなど各地域の公共施設から市役所にアクセスできる仕組みを構築する。
 行政施設のエネルギー消費も常に統合的に監視し、最小化するほか、観光地での渋滞情報の収集・提供も行う。
 計画では、栗駒山の渋滞情報やシャトルバスの運行状況を携帯電話に提供する実験を11月に行うのを皮切りに、12月には出先施設と市役所の通信実験などを進める。
 白鳥名誉教授は「過疎地での行政サービスの利便性向上と省エネを同時に実現することが目標。国際標準モデルを提案したい」と話している。

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