宮城県南三陸町に関わる町内外の研究者や事業者、学校関係者、住民らが一堂に会する「第3回南三陸いのちめぐるまち学会」(実行委員会主催)が、同町の町総合体育館で開かれた。参加した約200人はポスターセッションと対談を通じ、自然との共生や持続可能なまちづくりについて理解を深め合った。
ポスターセッションで40団体が多彩な発表を繰り広げた。南三陸高商業部は、志津川湾の海藻がウニに食べられて減る「磯焼け」対策として、ウニの駆除により産業廃棄物となっているその殻を歯磨き粉などに活用できないか探る研究を紹介した。
同高自然科学部や仙台三高は、町内の干潟で続ける生物調査について説明。このほか志津川湾でのワカメの食害、町の自然を反映させた立体地図、東日本大震災後の伝統工法による住宅再建、水を使わないコメ作りなどの発表があった。
2030年までに社会全体で生物多様性を回復軌道に乗せる「ネーチャーポジティブ」をテーマにした対談もあり、研究者や事業者が意見を交わした。
東北大大学院生命科学研究科の近藤倫生教授(生態学)は「地域の人が地域の自然をどうしたいか、みんなで考えることが第一だ」と強調。町内で林業を営む佐久の佐藤太一専務は「1次産業は自然と社会の『タッチポイント』。自然への負荷や自然からの恵みを責任を持って把握する必要がある」と力を込めた。
学会は9日に開かれた。