仙台圏の野生キノコ愛好家でつくる「仙台キノコ同好会」(木村栄一会長)が設立50周年を迎えた。記念祝賀会を2月24日に仙台市青葉区の催事場で開き、キノコに魅せられた会員ら関係者約100人が半世紀の活動を振り返った。
同好会は1967年、哲学者の故本多修郎東北大教授を中心に19人で結成。会員には市名誉市民のウイルス学者、故石田名香雄、古生物学者の故松本彦七郎もいた。現在は未就学児から大人まで幅広い世代の182人が会員となっている。
活動の目玉は市科学館で毎秋、市教委と共催する市民向けの「きのこ展」で、宮城県内に自生する珍しいキノコなどを展示する。自然観察会も定期的に企画。野生キノコの図鑑を発刊する会員もいる。
記念祝賀会で木村会長は「市民の科学として、正しいキノコの知識の普及を目指したい」とあいさつ。来賓の郡和子市長は「キノコの不思議さ、おいしさ、怖さを伝えてきた会に敬意を表する」とたたえた。
同好会は東京電力福島第1原発事故後、放射性物質を蓄積しやすいとされる野生キノコを採取。東北大大学院理学研究科と共同で放射能測定を実施し、汚染状況を調べている。
同大学院の木野康志准教授は祝賀会での記念講演「宮城の自生キノコ放射能調査の歩みと展望」で、「継続的な定点観測で放射性物質による森の汚染の推移を把握できる。同好会と実施している調査は世界で唯一のデータとなり得る」と語った。
キノコの魅力について、同好会の佐藤正基副会長は「山野を散策してキノコ狩りをする中で発見の喜びや食べる楽しみがあり、自然に関する知識も豊かになる」と話す。