自爆テロ犯は「カミカズ」仏

「3人の『カミカズ』のうち、1人がフランス人だ」(仏紙リベラシオン)

「『カミカズ』が競技場に進入しようとしていた」(フィガロ紙)

パリで13日起きた同時多発テロを受けて、現地メディアが一斉に「カミカズ」という言葉を用いている。捜査を担当するパリの検事も記者会見で、何度も「カミカズ」を口にした。

「カミカズ」とは自爆テロ犯の意味で、日常会話でも頻繁に登場する。実は、その語源は日本の神風特攻隊にあり、「カミカゼ」を仏語風に発音した。

神風特攻隊があくまでも敵軍を相手にしたのに対して、自爆テロは一般市民を狙ったテロだ。英語圏では自爆テロ犯を「スイサイドボマー(自殺的な爆破者)」と呼ぶが、フランスでは日本からの外来語が誤解されたまま、「カミカズ」がまかり通っている。

「1回きりで限られているから、楽しく精いっぱい生きる」というのが一般的なフランス人の人生観だ。近隣国から侵略を受け続けた歴史を持つフランスは、国家から個人まで生存本能の塊であり、任務を帯びたとしても、自殺行為はフランス文化と対立する概念なのだ。

加えて、フランスは古くから東洋の文化を神秘的にとらえる傾向がある。このため、「理解しがたい」と「畏怖する」という二面性の意味合いが、「カミカズ」に込められている。

ちなみに、今年1月にテロリストから襲撃された仏風刺週刊紙シャルリー・エブドの前身は、1960年創刊の月刊「アラキリ」。「アラキリ」を英語読みする と「ハラキリ」。これまた日本の「切腹」を意味しており、その内容は笑って腸がよじれるようなブラック・ユーモアで知られていた。(パリ 松浦肇)

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