自粛の影響じわり 飲食、宿泊業で休業や業態転換も

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で東京など7都府県に緊急事態宣言が出される中、仙台市内の商業関係者も厳しい経営を強いられている。客入りの減少が続く飲食、宿泊業では休業や閉店に踏み切る動きが顕在化しつつある。

 訪日外国人旅行者が多く宿泊していた青葉区の飲食店併設ゲストハウス「ORIT(オリト)」は、3月27日から営業を休止した。利用客が激減したためだ。
 普段の宿泊の半数を占める台湾、欧米などの外国人客の予約はキャンセルが続出。コンサートなどの中止で日本人の宿泊も減り、利用は1日2~3人という状況が続いた。マスクや消毒液が手に入らず、スタッフから感染を心配する声もあり、当面様子を見ることにしたという。
 2018年夏にオープンし、休日は常に満室、平日も7割程度の稼働を維持してきた。経営者の男性(56)は「これからというときに残念。早く状況が好転してほしい」と話す。
 営業時間の短縮や、臨時休業の張り紙が目立ち始めた青葉区の国分町エリア。稲荷小路でそば居酒屋「しあわせ一番町」を営む笹尾征志さん(47)は4月いっぱいでの閉店を決断した。「3月に入り急激に客が減り、近くの飲食店で感染者が出てからは人通りもなくなった」と明かす。
 一方、昼の時間帯を活用して昨年6月に始めた介護施設などへの配食事業は「外出するのは怖い」という個人の高齢者らの注文が増加。笹尾さんはニーズの変化を捉えて配食に絞った業態への転換を決め、従業員2人の次の働き先も手配した。「店はもうすぐ丸4年で固定客もいただけに残念だが、次の手を打っていくしかない」と前を向く。
 同じ稲荷小路の老舗「おでん三吉」は3日から当面の休業に入った。「何より、お客さまと従業員の安全を考えた」と田村浩章社長(50)。同日の宮城県と仙台市による外出自粛要請を受けて決断したという。
 3月は団体客が軒並みキャンセルとなる一方、県外客や若者客は入った。それでも「安心安全があっての商売。自粛に協力することで、少しでも早くいい方向に進んでほしい」と話す。
 国分町エリアではテークアウトやランチ営業を始める飲食店も増えつつあるが、毎月の家賃、人件費の負担は重い。家賃の減免などで大家が店の引き留めを図る動きもあるという。

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