自転車のヘルメット着用、宮城は1割止まり「髪型崩れる」 努力義務から1年たっても定着せず

自転車に乗る際のヘルメット着用を努力義務化した改正道交法の施行から1年が過ぎた。東北では、最も着用率が高い宮城県でも全国平均を下回る1割程度にとどまり、なかなか定着していないのが現状だ。宮城県内では行政が購入費に補助金を出したり、自転車専門店が多様なニーズに応えようと商品展開を充実させたりして、ヘルメットの普及を図る。
(編集部・小関みゆ紀、中沢昂大)

 仙台市若林区の県道に地元の交通指導員らが立った。4月上旬の朝、春の交通安全運動の一環で自転車の運転マナー徹底を呼びかけたが、目の前を通り過ぎる自転車のうち、ヘルメットを着けていたのは1割ほどだった。

 着用が進まない理由はさまざま。宮城野区の10代女性は「髪形が崩れ、格好悪い」と敬遠。若林区の80代男性は「着脱や保管が面倒。法律で義務化されればかぶるけどね」とこぼした。

 警察庁が昨年9月に公表した調査によると、ヘルメット着用率が東北で最も高かったのは宮城県だったが、それでも10・8%にとどまった。全国平均の13・5%を下回り、トップの愛媛県(59・9%)には遠く及ばなかった。宮城以外は青森2・5%、岩手7・6%、秋田3・5%、山形8・9%、福島4・3%。
申請伸び悩み
 宮城県内では、着用を後押ししようと、ヘルメット購入に補助金を出す自治体もある。2000円を上限に補助する富谷市では、4月に受け付けを始めて以降の申請件数が26件(4月26日現在)。1月から同額を補助している大河原町は78件(同30日現在)。申請はあるものの、伸び悩む。

行政、メーカー 普及に頭悩ます

 従来のヘルメットのイメージを変えようと、メーカーや自転車専門店は、見た目や機能性に優れた商品の展開に力を入れる。

 青葉区のハヤサカサイクル仙台中央店では帽子型のヘルメットが売り上げ3~4割を占める。本体に帽子をかたどったカバーやつばが付くタイプが人気だ。ブルートゥースを搭載し、音声ナビを起動できる商品もある。

 副店長の千葉勇太さん(35)は「施行直後に比べて売れ行きは一段落したが、品ぞろえは広がっている。一度見に来てほしい」と語る。
死亡率1.9倍に
 交通事故に遭った際、ヘルメットが果たす役割は大きい。警察庁の調査によると、ヘルメットを着けていなかった場合の交通事故の死亡率は着用時に比べ約1・9倍に上る。

 宮城県警交通事故総合分析室の鹿間敬志室長は「生身で運転する自転車は事故時のリスクが大きい。命や将来を守るためにも、ぜひ着用してほしい」と呼びかける。

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