自転車の交通ルール違反や事故が相次ぐ事態を踏まえ、利用者の損害賠償保険への加入義務付けやヘルメット着用の推進を盛り込んだ「県自転車安全利用条例」の最終案がまとまった。県は15日開会の県議会6月定例会に提出する。
最終案によると、基本理念では、自転車の利用が環境負荷の低減や災害時の交通に役立つとした上で、関係者が事故防止に向けて広く連携すべきだと規定。県が安全教育や啓発活動を、利用者が関係法令順守などをそれぞれ担うとした。
歩行者ら自転車事故の被害者を保護救済する観点から、利用者に損害賠償保険の加入を義務付けた。ヘルメットの着用は努力義務とし、未成年者や高齢者には家族や保護者がかぶらせるよう努めると明記した。
県内で2019年に発生した自転車関連事故は842件で、前年より104件減ったが、自転車と歩行者が絡んだ事故は27件で5件増えた。最終案では歩道を通る際には自転車を降りての押し歩きを促し、事故につながりかねない接触の回避を目指す。
さらに自転車を業務で使う事業者への協力要請を明文化するなど、独自色を持たせた。県総合交通対策課の担当者は「自転車イベントに加え、新型コロナウイルスの影響で公共交通機関ではなく自転車を使う人が増えつつある。条例制定を通じ、県民の意識を高めたい」と話す。
自転車の安全利用に関する条例は、仙台市が19年1月に施行。県は同年11月、有識者懇話会を設置し、先行例を参考にしながら協議を進めた。