自閉症にアセチルコリンが影響 浜松医科大などが発表

 自閉症患者は健常者に比べ、相手の表情を認識する脳の部位で、アセチルコリンと呼ばれる物質の働きが弱いことを浜松医科大と中京大、特定非営利活動法人(NPO法人)「アスペ・エルデの会」が共同で明らかにした。症状の悪化を防ぐことにつながるといい、日本時間8日、米医学誌で発表した。
 研究チームは、自閉症患者が相手と視線を合わせない傾向を持つことに注目。脳の下部にあって他人の顔を認識するときに使う「紡錘状回(ぼうすいじょうかい)」で、活動に影響するアセチルコリンの働きを調べた。
 18歳から33歳までの自閉症患者と健常者各20人を対象に、アセチルコリンの働きで生じるタンパク質の量を陽電子放射断層撮影装置(PET)で比較。
 その結果、自閉症患者は健常者に比べ、アセチルコリンの働きが20~40%程度弱かった。また、弱いほど視線を合わせない傾向も判明。アセチルコリンの働きの弱さが、症状の原因となっている可能性が示唆された。
 鈴木勝昭・浜松医科大准教授(精神医学)は「自閉症の原因物質の一つが明らかになったことで、症状の悪化を未然に防ぐことにも役立つだろう」と話している。

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