日用品やアパレルメーカーが就職活動に励む学生向けの商品やサービスに力を入れている。花王は今月、女子学生向けメーキャップ講座を開き、ライオンは10月にスーツなどのしわ取りスプレーの拡販キャンペーンを実施した。オンワード樫山も9月から価格を抑えた紳士向けスーツを本格展開している。「超氷河期」とされる厳しい就職戦線を戦う学生のサポートを通じて短期的な販売増につなげ、将来の顧客も育てる狙いだ。
花王は今月6、7の両日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた合同企業説明会に、メーキャップ講座などの体験コーナー「キレイを引き出す就活メイク」を出展した。企業の担当者に好感を持たれるメーク術を同社のメーキャップアーティストが直々に伝授してくれるとあって、2日間で約1300人を集める盛況ぶりだった。
最近は若年女性の化粧品の購入が落ち込んでいるという。このため同社は「自分を見直す就職活動の時期に、きちんと化粧をする習慣をつけてもらい、そのまま花王製品を使い続けてもらいたい」として、今後も出展を継続していく方針だ。
ライオンは10月、しわ取りスプレー「スタイルガード しわもニオイもすっきりスプレー」で、就職活動中の学生向けにキャンペーンを実施した。身だしなみを整えたい学生を取り込もうと、全国約350の大学に約2万4000本を提供し学生課に置いてもらうなどして認知度向上を図った。来春は、「就職説明会などで学生だけでなく親にも無料配布することも検討している」(同社)という。
一方、オンワード樫山は、手ごろな価格の百貨店向け紳士服ブランド「エンターG」の本格展開を始めた。スーツの価格は2万9400円からで、「就職活動をする学生や新社会人を中心に好調」といい、取り扱い店舗を現在の7店から今後拡大していく計画だ。
各社とも「就職活動をサポートし、イメージ向上につなげたい」(日用品業界関係者)考えで、顧客争奪戦は就職活動とともに激化する一方だ。(中村智隆)