花粉増予想、品ぞろえ勝負 花粉対策「コート」に「点鼻薬」…

アパレルや製薬会社が花粉対策商品を拡充している。三陽商会が花粉がつきにくく落ちやすい婦人用コートをブランド横断で展開するほか、英系製薬会社のグラクソ・スミスクラインはアレルギー症状を抑える一般用の点鼻薬を発売する。各社は来年、飛散量増加が予測されている上、花粉アレルギーに悩む人が年々増えており、中期的に需要拡大が見込めるとして新たな収益源に育てる考えだ。
三陽商会は婦人用に販売する花粉対策コートの取り扱いブランドを1から7に拡大し、2月上旬から順次発売する。高密度に生地を織り、繊維の中に花粉が入り込みにくくするなどの工夫を施した。商品点数も2から10に拡充。各ブランドのコンセプトに合わせた多様なデザインの商品をそろえ、幅広い年齢層の需要を取り込む考えだ。
 婦人用の花粉対策コートは、2003年と10年に2回販売した。消費不振で衣料品の販売が低迷する中、デザインや質感に加えて「機能性を売りにした商品が売れている」(加藤郁郎・婦人服事業部企画第一ディヴィジョン長)ため、花粉対策を新たな魅力として打ち出す。
 グラクソは、鼻の中に吹き付けてアレルギー症状を抑える一般用の点鼻薬「コンタック鼻炎スプレー〈季節性アレルギー専用〉」を12月7日に発売する。医療用点鼻薬の有効成分を一般用医薬品に転用し、鼻の粘膜に集まり、アレルギー症状を引き起こすもとになる細胞を減らす。同社は「一般用として販売することで、病院に行く時間がない人など幅広い需要に応えたい」と話す。
 製薬会社では、エーザイも今月9日、鼻の周辺に塗って花粉をシャットアウトする「クリスタルヴェール」に、清涼感のあるメントール成分を配合した商品を加えた。
 一滴分を指にとって塗ると、目に見えない透明なイオンの膜ができ、空気中のアレルギー原因物質をはじき返したり、膜に吸着させて浸入を防ぐ。塗った直後に乾くためべとつかず、違和感がないのも特長だ。昨年秋に発売したところ、売れ行きが予想を上回ったためラインアップを拡充した。
 花粉症は国民の5人に1人が苦しむ“国民病”とされ、その数は増加傾向にある。日本気象協会の予測によると、来年の飛散量は例年を上回ると予測され、少なかった今年に比べると地域によっては10倍に達する見通し。関連企業の品ぞろえ拡充の動きは今後も続きそうだ。(井田通人)

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