スギ花粉症の根治や症状緩和を目指す「舌下免疫療法」の治療薬「シダキュア」について注文が相次ぎ、メーカーが安定した供給に支障が出かねないとして出荷調整を始めた。この影響で、新規の患者の受け付けを見合わせる医療機関が出始めている。 【写真】「魔のサークル」? スギ花粉で花粉光環 シダキュアは鳥居薬品(東京都)が製造・販売。スギ花粉の飛散が終わった5~6月から新規の治療の開始が可能になる。今シーズンのスギ花粉の飛散量が多く、治療を希望する人が増え、治療薬の需要が急増したとみられる。 舌下免疫療法では、アレルギーの原因物質を含む薬を毎日、舌の下に投与する。少しずつ免疫を作ることで、アレルギー反応を起こさないようにする治療法だ。効果を持続させるため、3~5年継続して服用する。 シダキュアは、新たに治療を始めたばかりの患者向けと、継続的に服用する患者向けの2製品ある。有効成分は同じだが含有量が異なり、同社は以前から治療を継続している患者への供給を優先するとしている。新規患者向けの製品について例年並みの供給量は確保しているものの、それを上回る需要については「全ての注文にお応えできない可能性がある」(同社)としている。【横田愛】