「中年男性の希望の星ですよね。いくつになっても諦めない勇気をもらいました」(40代、男性)
漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2021」の王者に輝いたのは、50歳と43歳の“おじさん”コンビ・錦鯉(長谷川雅紀・渡辺隆)だった。昨年末のM-1を皮切りに、今テレビ界ではおじさんブームが来ていると、番組制作会社のディレクターが明かす。
「昨年まではお笑いは第7世代ブームでしたが、経験値が少ないから収録でヒヤヒヤすることもしばしば。われわれテレビマンが若手芸人さんを大切に育てられたらいいのですが、制作側も余裕がなく、結局安心して任せられる中堅・ベテランの芸人さんをキャスティングするようになっています」
’21年のテレビ出演ランキングのトップはサンドウィッチマン、設楽統(バナナマン)、川島明(麒麟)、チョコレートプラネットとトップ5をおじさん芸人が占める結果に。一方で、長寿番組を降板する坂上忍(54)やビートたけし(75)などの“おじさん”も。
今、世間に求められているのはどんなおじさんなのか。10代から60代までの男女1000人を対象に好きなおじさん、嫌いなおじさんをアンケート。愛されるおじさんと嫌われるおじさんの境界線を最後に解説します。
【2022年】好きなおじさんランキング
第1位 錦鯉(長谷川雅紀 50歳・渡辺隆 43歳)
「M-1のアナザーストーリーを見て涙が止まらなかった。どちらも苦労されていて他人の痛みがよくわかる大人だと思った」(30代、女性)、「20代、30代の芸人にバカにされても腐らずよく頑張った! 自分ももうひと花咲かせられるかもと思えた」(50代、男性)
男女問わず多くの票を集めたのはコンビでランクインの錦鯉。コンビ結成時にはすでに40歳と33歳のおじさんだった。歴代最年長のM-1王者となったのだ。
「長谷川さんは錦鯉としては10年目ですが、芸人としてのキャリアは長く、ロンドンブーツやバナナマンとは同期。実力はあったのですがなかなか日の目を見ず、昨年まで2人共にアルバイトを辞められなかったといいます。渡辺さんはお母さんを交通事故で亡くされ、高齢の父親と2人暮らし。その様子が以前テレビ番組で放送されたこともあり、応援している視聴者は多かった。年末年始に思ったよりテレビに出ていないと感じた視聴者は多いと思いますが、それはもう若くはない2人の体調を慮った事務所やテレビ局側の配慮だといいます」(制作会社スタッフ)
周囲の人からも愛される錦鯉。ますますの活躍が期待される。
第2位 松重豊(59歳)
「美味しそうに食べるおじさんって最高」(20代、女性)、「所作がきれいだし、清潔感がある」(30代、女性)
食べ方で得票を集めたのは『孤独のグルメ』(テレビ東京系)の井之頭五郎でおなじみの松重豊。『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)の切られ役でも活躍している。
「松重さんは福岡出身で明治大学文学部文学科で演劇学を専攻し、東京サンシャインボーイズや蜷川スタジオを経た実力派。バイプレーヤーとしてドラマに起用され、’12年から始まった『孤独のグルメ』で連続テレビドラマ初主演にしてテレ東きってのヒット作を生み出しました。現在はシーズン9まで放送され、大みそかには特番が組まれるなど、グルメドラマの先駆けとなりました。これも松重さんの清潔感や出しゃばらない空気感が生んだ結果だといえます」(ドラマスタッフ)
今年もいぶし銀の演技が光る。
第3位 阿部寛(57)
「この方のドラマにはずれなし」(40代、男性)、「たまにバラエティー番組に出演されているときに見る人柄がよさそう」(50代、女性)
3位にランクインしたのは、現在放送中の日曜劇場『DCU』が好評の阿部寛。視聴者コメントにもあるとおり、阿部寛のドラマにはずれなしが定評になっているが。
「中央大学在学中に阿部さんは190㎝近い身長を生かしてメンズノンノのモデルとなりましたが、その後は鳴かず飛ばず。南野陽子さん主演の映画『はいからさんが通る』(’87年)で伊集院忍(少尉)役をやったときは棒演技などと酷評されたものです。一時期は『あの人は今』の捜索対象になるなど不遇な時代を送りましたが、舞台などで実力をつけ『TRICK』(’00年テレビ朝日系)で再ブレイクしました。まさに努力の人で業界関係者からの信頼も厚いです」(ドラマ制作スタッフ)
と、ここまで好きなおじさんを紹介したが嫌いなおじさんを見てみると─。
【2022年】嫌いなおじさんランキング
第1位 坂上忍(54)
「共演者へのパワハラを感じてしまう。5分以上視聴するとつらい気持ちになる」(50代、主婦)、「自分の彼氏や夫、子どもの近くに坂上さんがいたら嫌だなと思う」(40代、女性)、「“ブスは相手にしない”みたいな発言を番組でしていたのを見てから、ブスの自分は人として見られていないと思い嫌になった」(30代、女性)
圧倒的な票を集めたのは主婦層をメインターゲットにした昼の情報番組『バイキング』(フジテレビ系)の司会者・坂上忍。この春での同番組の終了が発表されたばかり。
「坂上さんは子役から活躍している苦労人。動物保護活動に力を注ぐために本人から降板を申し出た、というのが終了の理由と言われていますが、毒舌によるクレームが相次いでいてフジテレビの上層部が苦々しく思っていたことは間違いない」(テレビ局社員)
それでも『坂上どうぶつ王国』、『直撃! シンソウ坂上』(フジテレビ系)と同局の冠番組は健在。
第2位 宮根誠司(58)
「聞きたいコメントを遮られてストレスがたまる」(50代、女性)、「アナウンサーなのに言葉遣いが悪い」(50代、男性)、「自分と仲がよい芸能人や権力のある人は無理やりでも擁護する姿勢が公平ではないと感じる」(60代、女性)
2位にランクインしたのは、こちらもワイドショー司会者の宮根誠司。『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系、月曜~金曜1時55分~)は’06年から続く長者番組だが。
「宮根さんはもともと大阪・朝日放送の局アナとして長年関西の“朝の顔”を務めてきました。『ミヤネ屋』も関西ローカルでしたが徐々に放送地域が広がり全国ネットになった番組です。関西では一定層の支持があるのですが、関東では苦手な人が多いようですね」
第3位 石田純一(68)
「元妻や子どもたち、コロナ禍での態度を見て、ご自分のことしか考えていない方なんだなと」(60代、女性)、「“不倫は文化”のころから好きではなかったけど、当時いしだ壱成のお金を使い込んでたと最近知ってますます嫌いに」(50代、女性)
3位は周囲も含めて何かとお騒がせな石田純一。
「コロナ感染時に自分勝手な行動でひんしゅくを買って以来、好感度を挽回できていない。不倫は文化発言の後などはそれを売りにして糧にする力があったのですが、最初の子どもであるいしだ壱成さんが、若いころ純一さんに給与を搾取されていたことを暴露したり、夫婦仲が悪いことまでバラされたりと踏んだり蹴ったりです。ですがこれまで転んでもただでは起きなかった純一さん。もうひと花咲かせると信じていますよ」(ワイドショースタッフ)
東尾理子に三くだり半を突きつけられませんように!
嫌いなおじさんランキング
好き、嫌いを分けたもの
好き、嫌い両者に共通するのはどちらかといえば“遅咲き”のおじさん。なぜここまで差が出たのか。その境界線とはどこなのか。多くの男性客を見てきた銀座のクラブ『Luna Piena』の日高利美ママが解説する。
「好きか、嫌いかは(人に対しての)あたりが強い印象かという分かれ方だと思いましたね。
要は、話を聞いてくれそうか、くれなさそうか。好きにランクインしている方たちって否定しないで話を聞いてくれそうですよね。一方で、坂上さんや宮根さんは毎日、人の話を遮る様子がテレビで流れてしまいますから当然、苦手意識が植え付けられやすい。彼らはお仕事でやっているのでしょうけれど、視聴者は自分に当てはめて見てしまいますから」
と、自身の経験上から語る。続けて、好かれるおじさんには誰でもなれると教えてくれた。
「アドバイスと説教の違いを理解していれば、好かれるおじさんになることはできます。好かれるのはもちろんアドバイス、嫌われてしまうのは説教。この違いというのは、アドバイスは相手のことを考えて発信するもの。説教というのは上から目線で感情的な押し付けと相手に思わせてしまうこともあるもの。もうひとつ重要なのはタイミング。関係性もできていないのに意見をするのはまたはアドバイスのつもりであっても説教に感じられてしまいます。信頼関係をつくったうえで必要とされているときに意見を言うことが大事」
最後に、
「嫌いのランキングを見てみると、たけしさん、さんまさんなどは昔は好きに入っていたはず。個人的にはお2人とも大好きですが、やはり、年齢とともに後任に委ねるということも大事なのかなと考えさせられますね」
愛されていたはずが、いつの間にか“老害”になっていた!?
愛されおじさんになるのは簡単。話を遮らず最後まで優しく聞いてあげること。ってこれがおじさんには難しい!?