若者の「酒離れ」打開へ キリン、iPhoneで新型広告展開

キリンビールは、米アップルがスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」向けに開発した新型広告「iAd(アイアド)」を導入した。会社の同僚や仲間が集う「飲み会」を盛り上げるコンテンツを提供することで、若い世代にアピールする。短文投稿サイト「ツイッター」などとの連携もできる広告として今後、利用が広がりそうだ。
 ◆ツイッターと連携
 アイアドは、スマートフォンに取り込む応用ソフト「アプリケーション」の使用中に表示される。画面の上部や下部に現れる広告を指でなぞると、動画が流れた後、複数の無料コンテンツを選択できる画面に移動する仕組み。サービスは2010年7月から欧米で始まり、日本でも今年8月末にスタートした。日本企業の展開は、トヨタ自動車に次いでキリンが2社目。
 インターネットでは、クリックすると企業のサイトなどに誘導される「バナー広告」が一般的だが、アイアドはテレビCMなどで使われていない動画など独自の内容を配信するため、アイフォーン利用者に見てもらいやすい利点があるという。
 キリンは、ノンアルコールのビール風味飲料「キリンフリー」と缶チューハイ「氷結」や、ブランド全体をアピールするアイアド「みんなカンパイ~ナ」の配信を9月下旬から開始。人気アイドルグループ「AKB48」の元メンバーでタレントの大島麻衣さんら3人が出演し、「飲み会」をテーマにした動画を展開している。
 無料のコンテンツは5種類を用意。お互いのツイッターでの「つぶやき」から共通の話題を探し出し、話題づくりに役立つ「カンパイトーク!」と、ツイッターや交流サイト「フェイスブック」で使う顔写真を編集して保存できる「リフレッシュカメラ」は、アイフォーン利用者の使用頻度が高いサイトとの相乗効果で利用増を図る。
 このほか「い~い加減おつまみ」は、コンビニ「セブン-イレブン」で販売する総菜などを使い、おつまみを作る簡単な方法を紹介。「キリンでカンパイ!」では、お酒などキリンビールの商品を一覧できる。また、「飲みすぎ計算機」では、飲んだお酒の量を入力することで自分の酔い加減をチェックできる。これらのコンテンツの配信は、11月下旬ごろまでの予定。
 ◆酒離れ世代需要喚起
 さまざまな媒体での広告を展開しているキリンがアイアドを始めたのは、「酒離れ」が指摘され、将来的な酒類の販売量も左右する20~30代の需要を掘り起こす狙いがある。
 14日に新モデル「4S」が発売されたアイフォーンは若者を中心に人気が高い。「キリンフリー」や「氷結」は「若い人や女性にも飲みやすい」(キリンビール)として、アイアドは普段飲まない人にもアルコール類を楽しむきっかけになる可能性が高いと判断した。
 同社は「テレビの表現力やインターネットの双方向性、ゲームの遊び心を兼ね備えており、若々しいブランドイメージの訴求に最適だ」と、アイアドの効果に期待している。

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