若者雇用5年で30万人 地方創生総合戦略、27日閣議決定

安倍晋三政権が看板政策に掲げる「地方創生」の長期ビジョンと総合戦略が25日、判明した。人口の東京一極集中を是正するため、平成32(2020)年までに地方から東京圏への人口転入を年間6万人減らし、転出を4万人増やすことで転出入の均衡を図る方針を明記。さらに地方で30万人の若者向け雇用を創出し、人口の受け皿とする目標を掲げた。政府は27日に総合戦略などを閣議決定する。
 長期ビジョンでは、72(2060)年に1億人程度の人口を維持するため、1人の女性が生涯に産む子供の数を推計した合計特殊出生率について、1・8程度を「まず目指すべきだ」とした。その上で、52(2040)年に出生率が2・07まで回復すれば1億人維持が可能になるとの試算を示した。
 総合戦略には、27年度からの5カ年で取り組む施策を列挙。地方での雇用創出について、起業支援や地域の中核企業を軸にした経済活性化の支援などで11万人、ブランド化や販路拡大による農林水産業や観光業の振興などで19万人の雇用を作り出す目標を掲げた。
 さらに、人口の地方還流を促すため、移住相談を一元的に受け付ける機関の設置を明記。地方移転が可能な国の研究機関などを26年度にリストアップし、地方の誘致希望を募った上で、28年度以降に移転を具体化するとした。子育て支援では妊娠から出産、就学までの期間を切れ目なくサポートする相談機関を全国に整備することなどを掲げた。
 地方自治体が要望している新たな交付金については28年度からの本格創設を視野に、26年度補正予算案から先行的に導入。交付にあたっては数値目標のある施策に限定するなど条件を付ける。本社機能を地方に移転した企業に対する優遇税制も設ける方向だ。

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