茨城の水害に関する話題の中に「冠水したハイブリッド車や電気自動車には近づくな」というものがある。なるほどハイブリッド車も電気自動車も、高圧の電池を大量に搭載してます。漏電でもしようものなら先日伊豆で発生した死亡事故よりはるかに深刻な事態になってしまう。
この手の話題を取り上げている記事を見ると、消防やJAFなどもハイブリッド車・電気自動車用の救難訓練をしているほど危険だと書いてある。確かに自動車メーカーのWebを見ると(下はクラウンHVの注意事項)、事故時の取り扱いについて詳しく紹介されています。
トヨタの注意ページ
(http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/safety/technology/pdf/er30c0j_crownHV2nd.pdf)
一方、自動車メーカーは大量の電池を搭載する危険性を誰よりも認識している。結論から書くと、スズキ「ツイン」や最初期のマイルドハイブリッドのような電池剥き出しのハイブリッドを除き、漏電する可能性はほぼ考えられない。というか、漏電しないような仕組みになってます。
されど「絶対無いか?」と言われればそこまで責任持てない。飛行機会社に「飛行機って絶対落ちないか?」と聞いたら保証できないのと同じ。例えば漏電したら高精度のブレーカーが付いています。実際、東日本大震災の際、ハイブリッドカーの漏電は一件もありませんでした。
津 波に呑まれても、激しく変形していてもです。そもそも津波で壊れた車両の状況を見ると、受けている衝撃値は衝突試験よりずっと少ない。自動車メーカーの警 告ページを見れば解る通り、注意の大半は「衝撃を受けたハイブリッドカーの起動スイッチを押すな」と「危険な場所を切断するな」です。
中にはハイブリッド車や電気自動車の火災時、消防署は専用の消火剤を使うと思っている人もいるようだけれど、水が効果的じゃない他の火災と同じタイプを使うのみ。リチウム電池の場合、バッテリーの熱暴走が始まったとしたら、どんな消火剤も役に立ちません。
だ からこそ絶対熱暴走しないタイプの電池を使っている。ニッケル正極を使ったリチウム電池が実用化しなかったのは、電池本体が壊れるとショートして熱暴走す るためです。現在使われているリチウム電池はクギを刺してもショートしないようになっている。漏電は考えなくても良い。
ナニを言いたいの かと言えば、人の乗っているハイブリッドカーが水没していたり、事故を起こしていて救助が必要なら、普通のクルマと同じように助けてあげてくださいという ことです。水没していれば100%メイン回路はシャットダウンされています。こういった都市伝説は良くありません。