茨城大(水戸市)は本年度、本県の風土や特色、課題を学ぶ「茨城学」の授業を開設する。今春入学する新入生から毎年、1年生の必修科目にする。各学部の教 員がそれぞれの専門分野で本県について講義するほか、県や市町村も担当者を派遣する。同大は地域の課題について学生自らが議論し人材育成につなげたい考 え。地域について考える機会が少ない学生に地域の活性化には何が必要か、考える力を養う狙いだ。
同大によると、授業は全15回。前半は本県の自 然や歴史、文化や産業について、人文や工学、農学など各学部の専門教員が講義し、学生に多角的に本県の理解を深めてもらう。後半は同大のキャンパスがある 水戸、日立、阿見の各市町と県のほか、同大との連携する市町村の担当者が自治体の概況や展望を講義する計画。学部が異なる複数の教員が一つの授業に参加す る場合もあるという。
同大の学生の半数近くは県外出身。新入生は1年間、水戸市のキャンパスで教養科目などを学んだ後、工、農各学部の学生はそれぞれキャンパスがある日立市や阿見町に移る。
学生の中には、地域について考える機会をほとんど持たない学生も少なくないといい、同大は「茨城学」を通じて、地域の実情を見詰め、地元で役立つ課題解決の視点を身に付けてもらう。
2年生以降は茨城学を学生が実際に地域の現場に出て主体的に課題解決を目指す学習にもつなげたい考え。
同大は昨年度、自治体と連携した教育や研究、社会貢献を進める大学支援で、文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」(COC事業)を採択された。茨城学は同大が提案したプログラムのうち「地域志向教育」の一環。
COC事業を統括する同大の内田聡学長特別補佐は「大学教員の地域貢献に対する意識の改革にもつながる」と期待を込める。
茨城学のコーディネートを担当する社会連携センターの清水恵美子准教授は「県外から来た学生にも『面白い県に来た』と思ってもらえるような授業にしていきたい」と話している。
(小原瑛平)