茨城県が運営にかかわる結婚支援所「いばらき出会いサポートセンター」で昨年度に交際を開始した会員のカップルの組数が1000組を突破し、2020年度から3倍以上になった。茨城県では、人工知能(AI)が相性の良い相手を紹介するシステムの導入や女性会員の増加が好調の要因とみている。
視野広がる
「趣味は異なったが、相手と波長がぴったりだった」。茨城県東海村在住の会社員男性(37)は、同センターを利用し、今年4月に茨城県内の会社員女性(37)と婚約した。女性とは、AIを活用したマッチングシステムで出会って交際を開始し、約1年7か月後に婚約に至ったという。
「次のうちどちらの行動が許せないか。〈1〉家族や友人と接する際、より良い関係を作るために行動せず、一人でいることを好む〈2〉仲間内でもめ事があっても、積極的に関わろうとしない」
AIマッチングシステムは、このように自分が重視している価値観を問う112問の質問に答えると、自動的に自分と相性の良い相手を1〜3個の星の数で提案してくれる仕組みだ。星の数が多いほど相性がいいことになる。21年4月に導入を開始したシステムで、男性は「今まで自分が選ばなかったようなタイプの女性を紹介してくれて、視野が広がった」と話す。
そうしたシステムが評判を呼び、入会者数、成婚数が増加している。茨城県少子化対策課によると、お見合い件数は、20年度の約2・5倍以上の3075組に増え、交際開始件数も20年度に415組だったのが、22年度には1319組になった。
男女比は6対4に近づく
また会員の男女の比率として、女性が男性の半分以下であったことから、センターは昨年、最大2万2000円かかる入会登録料を無料にするキャンペーンを計6か月実施。昨年度の女性入会者数は、新たに766人となり、男女比は6対4に近づいた。
ただ、マッチング数を増やすため、同課は「更なる女性会員の増加は必要だ」と指摘する。そのため、今年度は通年で女性の登録料の無料キャンペーンを実施している。今も、女性が続々と入会しているという。
国立社会保障・人口問題研究所によると、50歳時の茨城県内の未婚率(20年)は、男性が28・85%、女性が14・65%と、前回調査時の15年に比べ、男性は4・56ポイント、女性は3・96ポイント増加している。同課の担当者は「少子化の大きな要因は、未婚化と晩婚化。センターを活用して、結婚支援を強化していきたい」と話している。