「歯応えがシャキシャキしておいしい」。人の身長ほどに伸びた「幼竹」を加工した国産メンマが評判だ。実は、このメンマは荒れ果てた竹林を再生し、里山を保全する活動にもつながっている。
竹は成長が早く密生する。周りの樹木は光合成が阻害され、枯死してしまう。計画的な伐採やタケノコ掘りが必要だが、多くの人手を要し、費用もかかる。1960年代からプラスチック製品が普及したことで、竹の用途は竹炭などに限られ需要が激減。過疎や高齢化の影響もあり放置竹林が増え、社会問題化している。
福岡県糸島市の自営業、日高榮治さん(72)は、竹林による被害を拡大させないため、幼竹に着目。試行錯誤の末、ゆでて塩漬けにすることでメンマに加工する方法を編み出した。幼竹の収穫はタケノコ掘りよりも難しくなく、小学生も作業に参加できるという。
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日高さんらは2017年12月、長野県飯田市の市民グループなどと一緒に「純国産メンマプロジェクト」を立ち上げた。幼竹から作ったメンマを販売し、竹林管理の費用に充てる活動が全国に広がるよう取り組んでいる。
国内で流通するメンマは、ほとんどが中国や台湾からの輸入品。同プロジェクトによると、国産は加工方法の違いから歯応えや匂いが良いと好評だ。輸入品に比べ割高だが、今後はレシピを標準化して生産量を増やし「大手小売店や外食チェーンなどに売り込みたい」と言う。
林野庁は「山林保全につながる運動。支援できることがあれば検討したい」(特用林産対策室)と期待している。