文化庁は15日、映像や音楽、書籍など様々な著作物を二次利用する際に、分野を横断した一元的な窓口組織で相談できる仕組みを創設する方針を明らかにした。過去の放送番組や雑誌掲載写真のほか、インターネット上で増えているアマチュアが作った音楽や映像などを、スムーズに利用できるようにする狙いだ。同日開かれた文化審議会著作権分科会の小委員会で「中間まとめ」の素案を示した。
素案には、様々な著作物の権利者情報を横断して検索できるデータベースを、併せて整備することも盛り込んだ。利用者が二次利用を希望する場合、窓口に問い合わせれば、データベースの情報に基づき、文芸や音楽など分野ごとに著作権を管理する「集中管理団体」に取り次ぐ。団体で管理されていないときは、個別の交渉先を紹介する。
権利者が全く分からない場合などについては、新たに創設される窓口組織への申請や使用料相当額の支払いなどによって速やかに利用できる「新しい権利処理の仕組み」も検討する。
現在は、たとえば過去の放送番組などをオンライン配信などで二次利用する際には、番組内で使った音楽や写真などについて、一つひとつ集中管理団体に相談したり、権利者を探したりして許諾を得る必要がある。幅広い利用を促すうえでの課題となっていた。
ただ、窓口組織の運営コストを誰が負担するかや、「新しい権利処理の仕組み」を具体的にどうするかなど、課題も多い。文化庁は今後さらに文化審議会での議論を重ね、必要に応じて著作権法を改正することも含めて検討するとしている。