9月6日、蒲生干潟に約40本のタイヤが3カ所に分けて積まれていた。仙台市の学生団体「carav@n(キャラバン)」が前月、一帯を清掃活動した際に集めたものだという。
一つのタイヤの側面には、2011年8週目(2月下旬)に製造されたことを示す「0811」の刻印がある。接地面には未使用を示す緑や黄、青、白の「識線」も残っている。
他にプラスチックごみがいくつもあった。メンバーの東北学院大4年宮原昂大さん(22)=仙台市若林区=は「小さい頃から遊んでいた砂浜が汚くなっていて悲しい」と語った。
漂着タイヤの大半はトーヨータイヤ(兵庫県伊丹市)の製品だ。同社によると、岩沼市の倉庫と干潟近くの輸出用コンテナ約600個に保管していた計40万~52万本が津波で流失。全体の3、4割は仙台港周辺や岩沼市沿岸などにとどまったが、残りはコンテナごと海底に沈んだ。
蒲生干潟では13年ごろ、漂着タイヤが見つかるようになった。海底のコンテナが腐食して穴が開きタイヤが漏れ出たとみられ、波が強い時に打ち上がっている。「台風が過ぎた直後に周辺を歩くと、海藻が付着するなどしたタイヤが2、3本は見つかる」(団体関係者)という。
トーヨータイヤも宮城県沿岸へのタイヤ漂着の事実を把握している。住民から情報を寄せられるたびに民間業者に委託し、タイヤを回収している。ただ、「回収しても回収しても流れ着いてくる」(同社広報担当)状態だ。
地元の大学生ら回収、メーカーが処分
仙台市宮城野区でシェアオフィスなどの「STUDIO(スタジオ)080」を営む地元企業が苦境を知り、インターンの学生らに呼び掛けて8月に設立したのがキャラバンだった。月1回、干潟と公園を歩いてタイヤを含む廃棄物を収集している。集めたタイヤはトーヨータイヤが処分している。
スタジオの運営を担う栃山剛さん(37)は「学生ボランティアの輪を広げ、きれいな砂浜を取り戻したい。企業の参加も促し、学生と一緒に国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を考えるきっかけにしたい」と話す。