宮城、山形両県にまたがる蔵王山(蔵王連峰)の火山活動に備え、東北地方整備局新庄河川事務所は今冬、刈田岳山頂に監視カメラを設置した。5月上旬に本格運用を始める。
設置工事は2020年度に着手し、21年11月から試験運用を進める。カメラは高さ3メートル超の支柱の上に設けられ、火口湖「お釜」周辺の映像を東北地方整備局などに配信する。積雪や低温対策でケースには電熱線を張り巡らした。
8日は新庄河川事務所や宮城県、蔵王町の関係者約15人が雪上車で視察に出向いた。年明けごろから雪で映像が見えなくなったといい、現地の状況を確認する必要があった。
山頂周辺の気温は氷点下6度。真冬の蔵王のシンボルである樹氷ができるエリアとあって、監視カメラは支柱ごと氷に覆われ、ケース内側まで凍り付いていた。一行は氷を除去し、配信先に電話をしてカメラの動作や映像を確かめた。
新庄河川事務所の木村晃副所長は「火山活動で入山できなくても今後はカメラで状況が分かる。支柱の部分に熱線を巻く必要など改良点が分かり、有意義な視察となった」と話した。
冬季に噴火した場合、麓の蔵王町では積もった雪が溶けて流れ出す「融雪型火山泥流」が懸念される。村上英人町長は「映像を町役場でも365日見られるようにして、町の安全安心を高めたい」と語った。