蔵王エコーライン5月11日開通 山形県の安全対策に遅れ 感染警戒も見え隠れ

 宮城、山形両県にまたがる観光道路蔵王エコーライン(宮城県蔵王町-山形県上山市、26キロ)の冬季通行止め解除が、5月11日となる見通しだ。例年より10日以上も遅く、大型連休明けは異例。「安全対策の遅れ」を理由に挙げる山形県に、4月27日の開通を予定していた宮城県が足並みをそろえた形。来県者への検温など警戒を強める山形県サイドの新型コロナウイルス対策とみる向きもある。
 エコーラインが全線開通した翌年の1963年以降、開通日が大型連休明けまでずれ込むのは、蔵王山(蔵王連峰)に火口周辺警報が出された2015年6月22日以来2回目。
 山形県道路保全課によると、除雪はほぼ終わったがセンターラインの点検、ガードレールの補修などが残っているという。安全対策の遅れという同じ理由で、同県は秋田県に通じる鳥海ブルーライン、福島県に延びる西吾妻スカイバレーの開通も、例年より大幅に遅い5月11日とした。
 新型コロナの感染拡大を受け、山形県は来県者への検温を5月10日まで実施するなどし、人の流れに神経をとがらせる。11日までの観光道路の開通延期は、県境をまたぐ車の通行を封じ込める狙いにも映る。
 道路保全課は「(新型コロナ対策を講じる)危機対策本部会議の指示ではない。あくまでも通行の安全を確保するために必要と判断した」と強調。宮城県道路課の担当者は「例年通りの開通準備を進めてきたが、仕方がない」と話す。

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