蔵王・遠刈田の別荘地、イタリア発祥「分散ホテル」認証 インバウンド誘致の追い風に

蔵王町遠刈田温泉の別荘地「蔵王山水苑(さんすいえん)」を中心とする貸別荘を宿泊施設として活用する取り組みが、イタリア発祥の水平型分散ホテル「アルベルゴ・ディフーゾ(AD)」の認証を受けた。東北では初めてといい、関係者は仙南地域への広がりに期待を寄せる。

 昨年12月15日に都内で式典があり、山水苑など「蔵王エリア」を管理する蔵王農泊振興協議会が、イタリアの国際団体の会長からADスタートアップの認証証書を授与された。26日には相沢国弘会長と宇田川敬之事務局長が、県大河原地方振興事務所を訪ね、志賀慎治所長に認証を報告した。

 ADはイタリア語で「分散した宿」の意味。山水苑などでは新型コロナ禍以前から、未利用の別荘をホテルに見立てて貸し出す事業を展開し、欧米のインバウンド(訪日客)の好評を得てきた。年間利用者数は延べ5万人を超える。

 相沢会長によると、他地域との兼ね合いでスタートアップ認証となったが、既に事業化されているため、事実上の本認証という。東北では八幡平市の八幡平温泉郷も取り組んでいて、蔵王と同日にスタートアップ認証を受けた。

 AD認証はインバウンド誘致に有利に働く。その地に住んでいるような感覚が得られるADへの関心は特に欧州で高く、認証を得ることで長期滞在者の増加や地域のブランド化などの効果が見込める。

 志賀所長は「空き家という課題を強みに転化できる取り組み。村田町や川崎町など仙南地域全体に広がるような先行事例になってほしい」と期待を寄せた。

 相沢会長は「今回はわれわれの方向性と国際団体の提案がリンクした。広域化を念頭に置いて事業を展開していく」と語った。

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