蔵王・風力発電事業「計画中止し協議の場を」 反対派住民が要望書

関西電力が宮城県川崎町前川地区に計画する陸上風力発電事業を巡り、同町など蔵王周辺の住民らでつくる「蔵王風力発電建設計画の中止を求める会」は13日、計画中止を求める要望書を町に提出した。

 共同代表の佐藤大史(まさふみ)さん(40)と佐藤雅宣(まさのり)さん(43)ら3人が町役場を訪れ、県内外の個人から広く集めた関電への意見書2234通(12日時点)と一緒に、小山修作町長へ手渡した。

 大史さんらは電力の地産地消など独自の再生可能エネルギー案を示し「環境破壊につながる大規模開発計画が、あまりにも早いペースで進んでいて、住民が付いて行けていない。いったん中止し、相互協議の場を作ってほしい」と訴えた。

 小山町長は「多くの心配する声を耳にするが、一方で電力確保の意義の大きさも分かる。町民の意見を広く吸い上げ、情報を集めて判断したい」と述べた。町は関電による住民説明会などを踏まえ、7月4日まで県に意見書を提出する。

 関電の計画は前川地区の私有林約1600ヘクタールに最大で高さ約180メートル、直径約160メートルの風車23基を建設する。最大出力は9万6600キロワット。2028年度の着工、31年度の運転開始を目指す。地元では蔵王連峰の景観への影響や騒音、低周波が及ぼす人体への問題などに懸念の声が出ている。

村井知事「県のできることには限界がある」

 関西電力が川崎町に計画する陸上風力発電事業に関し、村井嘉浩知事は13日の定例記者会見で「事業者に厳しく指導はしているが、決められたルール通りに進めていけば(県は)止めることはできない」との認識を示した。

 村井知事は、風力発電事業の許認可権限は国にあると指摘し「県のできることには限界がある」と説明。再生可能エネルギー普及の重要性に理解を示す一方、「関西電力がわざわざ東北に来なくても、関西地方でおやりになればよろしいのではないか」と改めて違和感を表明した。

 県によると、今後、国の環境影響評価法に基づき、関電の事業に「知事意見」を提出。有識者らの技術審査会を開き、7月末をめどに意見を取りまとめる。

 村井知事は「周辺環境や災害対策、住民意見に適切に配慮した計画となるよう求めていく」と語った。

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