蔵王山(宮城、山形県境)で火山性微動が多発しており、気象庁は30日、噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から、2(火口周辺規制)に引き上げた。平成22年の観測開始以降、最大の火山性微動が観測され、同庁は小規模な噴火の可能性があるとして、想定火口域の「馬の背カルデラ」からおおむね1・2キロの範囲で飛散する噴石への警戒を呼びかけた。
気象庁によると、30日午後2時18分から31分にかけて、地下の熱水や火山ガスの動きを示すとされる火山性微動が観測された。直近では28日と30日未明にも観測されたが、今回の振幅が過去最大だった。28日からは山頂の南側が隆起する地殻変動も傾斜計で分析され、火山性地震も30日未明から4回起きたという。
空振計には変化がないため、噴火が起きた可能性は低いという。蔵王山では昭和15年の小規模噴火以降、噴火していないが、平成25年から、たびたび火山性微動を観測。警戒レベル運用開始前の27年4月には噴火警報が発表され、同年6月に解除されてからは目立った活動がなかった。
同庁の小久保一哉火山活動評価解析官は「想定火口の地下浅い部分で火山性微動が起きた。現時点では何が起きているか不明だが、過去の活動と比べて振動の現れ方には大きな違いはない」と説明した。