薬の副作用データ、300万人規模で集積へ 厚労省

医薬品の副作用情報の精度を上げて安全対策につなげようと、厚生労働省は300万人規模の患者情報データベース化にのりだす。従来も医療機関や製薬会社が把握した事例は共有してきたが、副作用の有無にかかわらず患者情報を洗い出して隠れた副作用を掘り起こし、発生頻度の把握につなげる。2018年度からの稼働を目指している。

データベース化の対象は、患者情報の電子化が進んでいる大学病院など全国23施設。同省が公募で選んだ。すでにある患者計300万人の病名や使用した医薬品の使用量と期間、服用後の症状などを集める。医薬品の審査や安全対策を担う独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」が管理する。

厚労省は、医師や製薬会社に副作用報告を義務付けている。ただ、薬を利用する患者の実数や、医師らが気づかない副作用はわからず、正確な発生頻度の把握は難しかった。今後は、同じ病気の患者の薬ごとの副作用の発生率が比較可能になり、副作用なのか病気による症状なのかを見極めやすくなる。より早い副作用の察知や、安全対策をとった後に副作用が減るかどうかの検証も可能になる。

データは、患者が特定されないよう個人情報を削除して、製薬会社や研究者に提供する。データベースの維持費として製薬会社などから料金を集める方針。この夏にも厚労省の検討会でルールをとりまとめる。(福地慶太郎)

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