薬用植物「ムラサキ」使い抗ウイルスマスク 宮城・加美のグループ開発 東北医科薬科大が実証

抗ウイルス性や抗菌性がある薬用植物「ムラサキ」の6次産業化を目指す宮城県加美町の協議会が、東北医科薬科大(仙台市)と協力してマスクを開発した。医療・介護や食品加工の現場でも使える性能の高さに加え、栽培農家の支援にもなる取り組みで、協議会は商品化を目指している。

農家支援へ商品化目指す

 開発に協力した佐々木健郎東北医科薬科大教授(生薬学)によると、ムラサキの根「紫根(しこん)」に含まれるアセチルシコニンなどには抗ウイルス性があることが知られ、インフルエンザウイルスに対する不活化効果が実験で確認された。大腸菌などに効く抗菌性もある。

 ムラサキは絶滅危惧種に指定され栽培も難しいことから、佐々木教授らはまず少量の紫根からアセチルシコニンなどを高濃度に抽出する方法を開発。3層構造のマスクの一番表側にある不織布の表面に抽出した紫根エキスを特殊な加工で塗布するなどし、2022年3月に試作品を完成させた。市販化に向け現在、メーカーなどと交渉している。

 佐々木教授は青森県産の藍「あおもり藍」から有効成分を取り出す技術を確立し、6次産業化に貢献した実績を持つ。協議会から20年に協力要請を受けた佐々木教授は、あおもり藍の抗菌・防臭性の高さを生かしたマスク製作の経験を踏まえ、ムラサキのマスク開発を思い立った。

 協議会は紫根エキスを用いた固形せっけんやボディーソープ、歯磨き粉、マウスウオッシュなど十数種類の関連製品も開発。商品化を模索している。

 佐々木教授は「肌に直接触れる物は天然成分由来が好ましいだろうし、紫根エキスのマスクは役に立てると思う」と話す。

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