行政区から「総合区」に? 国が法改正検討 仙台市やきもき

政令指定都市の行政区を予算編成や人事の権限の一部を持つ「総合区」に格上げする地方自治法改正を、政府が目指していることについて、仙台市が気をもんでいる。法改正により市政運営の仕組みが大きく変わる可能性があるものの、まだ骨子しか示されていないためだ。改正案は通常国会に提出される予定で、市は指定都市市長会を通じ、内容の詳細に関して情報収集を進めている。
 総務省の資料によると、改正案は検討項目として(1)行政区の総合区への格上げによる行政機能の強化(2)各区選出議員をメンバーとする市議会の常任委員会設置(3)都道府県との二重行政の解消を図る「調整会議」の新設-などを挙げている。
 総合区は、政令市が導入するか否かを選べる。現在、行政区長は局長級の一般職員が務めているが、総合区長は副市長、教育委員と同じ特別職になる。区内の課題解決に関わる予算を市長に提案できるほか、区職員の任命権を持つ方向性が示されている。
 市行財政改革課の担当者は「市長を含め任命権者が複数いることになり、人事が複雑になるのではないか。区長の権限の範囲や市長との関係など、現段階では分からないことが多い」と困惑する。
 区ごとの常任委は、区に関連する議案審査などを担うと想定される。あるベテラン市議は「今でも選出区ごとに議員会をつくり、区長や市当局とのやりとりを通じて意見を施策に反映させている。わざわざ区常任委を設ける必要性を感じない」と首をかしげる。
 総務省資料は、「議会に区常任委員会を置くこととする」と設置を義務付けるような表現をしていて、既存の行政区も対象となる可能性がある。
 奥山恵美子市長は1月28日の記者会見で区常任委に触れ「国が設置を法律で決めるのは、地方分権の流れに逆行しているように映る」と指摘。調整会議については「県と仙台市には弊害と言えるほどの二重行政は存在しないのではないか。今後を見据えれば、調整する場があって悪いことはない」と述べた。

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