【バンコク時事】タイの街角に、寄付された飲食物を誰でも自由に持ち帰れる食品棚が登場した。新型コロナウイルスの影響で仕事が減り、苦境に陥る住民を支援する草の根の活動で、バンコクで始まった助け合いの輪は全国に広がっている。
コンサルタント業のスパキット・クンラチャートウィチットさん(33)が4月27日、バンコクを中心とした5カ所に設置したのが始まり。フェイスブックで紹介すると賛同の声が上がり、今では国内全県の600カ所以上に棚が置かれている。
寄付者が棚に品物を入れ、困窮者が必要な物を持ち出す仕組み。スパキットさんは「経済的に苦しむ人を助けたい。多くの寄付が集まっている」と手応えを感じている。
バンコク中心部に設けられた棚には米や卵などが大量に入っていた。乾麺とコーヒーを取り出した運転手のカリムさん(56)は「仕事が不安定になり、収入が大幅に減った。本当に助かる」と感謝の言葉を口にした。
会社経営者のスリンさん(70)は遠方から自動車で訪れ、棚に牛乳やスナック菓子を並べた。「必要とする人に直接届く素晴らしい構想。寄付する私も心が満たされる」と笑顔を浮かべた。