ビジネス街のランチ難民に重宝されてきた路上の弁当販売を巡り、東京都が規制を検討している。
オフィス人口の増加などで10年前から目立つようになった弁当の移動販売だが、衛生管理が不十分な上、無届けで販売する業者も横行し、食中毒も懸念されるためだ。販売のあり方を審議してきた都食品安全審議会は19日午後、都条例の改正など、衛生面での強化策を盛り込んだ中間報告をまとめる。
東京・日本橋のオフィス街に10台以上の台車や軽トラックがずらりと並ぶ。荷台にはサバのみそ煮やチキンカツの入った大量の弁当箱が積み上げられている。いずれも500円前後。長い列に並んだ会社員男性(35)は週4回は利用するという。「飲食店は混雑していてとても入れない。弁当は安いし、気軽に利用出来るから」と話す。
弁当の路上販売は、都食品製造業等取締条例で「行商」に分類され、保健所に届け出ればだれでも営業出来る。都内での届け出業者は2002年には265件だったのが、12年は542件に急増。都心でオフィスビル建設が進み、ランチ需要が増える一方、ビルのセキュリティーが厳しくなって仕出し屋が自由に出入りできなくなったことが背景にあるという。
増加に伴い、トラブルも増えてきた。都が今夏、都心の路上で営業する260業者を対象に行った調査では、2割近くが無届けだった。また、弁当95食を抽出調査したところ、4割から都の基準を超える細菌が検出されるなど衛生面でも問題があることが判明。運搬時に保冷剤を入れるなどの温度管理を行っていない業者も3割あった。