袋麺市場の勢力図を変えた役所広司のCM力。

袋麺市場に異変だ。
 これまで即席麺業界といえば、「チキンラーメン」(日清食品)、「サッポロ一番」(サンヨー食品)の2大ブランドが君臨してきた。だが、昨年11月に「マルちゃん正麺」(東洋水産)が登場して大ヒットし、袋麺業界の勢力バランスが大きく変わろうとしている。
「生麺」成功の立役者は役所広司。発売直後から中年男たちがコンビニでやたら買い漁りバカ売れ。今年9月までに1億3000万食を出荷した。売り上げも130億円を突破している。30億円でヒットの世界だから、場外ホームランみたいなもので、業界ではマルちゃん・ショックと呼んでいる。
 役所のような大物を起用し、生麺がこれまでのフライ麺と違っていかにうまいかを連呼させた“戦略”が功を奏したようだ。
 そんな市場へやや遅れて殴りこんできたのが織田裕二を起用したサンヨー食品の「麺の力」である。「即席麺はもっとうまくなる。あっという間になくなっちゃった」という織田のCM開始とともに9月から店頭に並んだ。しかし、織田の「麺の力」はそれほど話題にならず。
 そのため11月からCMの新作などで再攻勢をかけるというから、マルちゃん陣営もその詳細をかなり気にしているようだ。それにしても、織田クラスが宣伝してもかなわない役所のCM力はすごい。
「役所は“CMはインパクト勝負”ということがわかっていて、普段の役所からは想像できないキャラをうまく演じる。織田より役者が一枚上で、袋麺業界のCMに限っていえば横綱クラスの役所に対し織田は十両クラスといったところ。役所は『マルちゃん』以外にエビスビール、ダイドードリンコ、大和ハウス工業、フィンランド航空など衣食住関連をカバーしてまだCMが増えそうな雰囲気です」(芸能評論家の金沢誠氏)
 巻き返しを図る織田陣営は役所をギャフンといわせることができるか。
(日刊ゲンダイ2012年10月27日掲載)

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