被災の天狗像が雄姿復活 仙台・愛宕神社の2体お披露目へ

 仙台市太白区の愛宕神社にあり、東日本大震災で被害を受けた2体の天狗(てんぐ)像がこのほど修復作業を終え、かつての雄姿がよみがえった。23、24日に開かれる神社の例大祭で、修復完了が報告される。神社は「多くの市民に迫力ある姿を見に来てほしい」と呼び掛けている。
 2体は本殿東側の神門の左右に備えられている。ともにヒノキ材の寄せ木造りで、高さ約3.5メートル、幅約2メートル。江戸時代後期に造られたとみられる。同様の天狗像では国内最大だという。
 神門右手が「愛宕太郎坊」、左手が「烏(からす)天狗」で、1996年に仙台市の登録文化財に指定された。
 愛宕神社は震災で鳥居3基や石灯籠8基などが倒壊。天狗像は2体とも台座部分から倒れ、羽や腕が外れた。
 復元を願う神社が昨年5月、小西美術工芸社(東京)に修復を依頼。栃木県日光市の同社工房で寄せ木の接着や漆の塗装といった作業が施され、今月3日に元の場所に設置された。同社によると、寄せ木に破損箇所はなく、ほぼ元通りに復元できたという。
 愛宕神社は慶長8(1603)年、仙台藩祖伊達政宗によって建立された。神社によると、建立前の愛宕山は「天狗山」と呼ばれ、山岳信仰の対象だった。その影響で文化元(1804)年ごろの神門建立時に天狗像が備え付けられた。
 天狗は神社に仕え、人々を正しい道に導くとされる。6代目宮司の郡山宗典さん(54)は「2体の天狗像は約200年間、仙台の街を見守ってきた。街の復興を正しい方向に導いてほしい」と話す。
 例大祭初日の23日午後8時15分から、東京の雅楽奏者7人を招いた記念演奏会が開かれる。入場無料。連絡先は愛宕神社022(223)6096。

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