◎にぎわいます 海岸広場
東日本大震災で被災した気仙沼市本吉町の小泉海水浴場が今夏、9年ぶりに復活する。海開きは7月20日。再開を前に地元の小泉小の児童が19日、震災前の恒例行事だった砂の造形を現地で実施。市が整備していた観光交流広場も完成した。広場は、県が造った県内で最も高い海抜14.7メートルの背後地にある。
交流広場「小泉海岸広場」は、敷地面積約4000平方メートル。三陸沿岸道路の小泉海岸インターチェンジから車で約5分の場所にある。
このうち駐車場は約2500平方メートルで、バス3台分を含む約70台が駐車できる。事業費は約1億5000万円。国の復興交付金を活用した。
駐車場以外の場所は地元の住民が交流スペースなどとして活用する。海開きがある7月20日には地元の芸能団体が踊りなどを披露する予定。海の家の出店者も決まった。
トイレとシャワー室の完成は来夏にずれ込む。市は今夏、いずれも仮設のトイレとシャワー室、更衣室を設けて対応する。
市観光課は「海水浴客には有効に活用してもらい、地元にはにぎわい創出の場所としても使ってほしい」と話した。
◎砂の造形いきいき 小泉小
砂の造形に参加したのは、小泉小の全校児童46人。地元の小泉幼稚園の園児17人も手伝った。
全員で海水浴場のごみ拾いをした後、4班に分かれて造形に挑戦した。海の生き物がテーマで2班がサメ、他の2班はクラゲとカメを作った。
砂浜に動物の下絵を描き、スコップや手で砂を盛りながら形を整えた。浜辺で拾った貝や流木、海藻を使ってクラゲの足やサメの歯などを表現した。
6年の三浦真留さん(11)は「かっこいいサメができた。120点の出来だと思う」と満足していた。
砂の造形は1996年に始めた。古里の海に親しんでもらおうと毎年行われていたが、震災で中断。2016年からは本吉町内の別の砂浜で実施していた。
小泉海水浴場に初めて来る児童も多く、作業終了後も波打ち際で楽しそうに遊ぶ姿が目立った。5年の三浦徳弥君(10)は「夏には仙台のいとこと一緒に遊びに来たい」と喜んでいた。
田口綾子校長は「震災後、子どもたちが海で遊ぶ機会は減った。海水浴場の再開は地域の魅力を知るきっかけにもなる」と話した。