被災地で求人増でも少ない応募…大半が期間雇用

東日本大震災の被災地で、「復興需要」に伴う求人が増えているものの、応募が少ない「ミスマッチ」が拡大している。
 求人はパートや期間雇用が多いが、失業手当を受給する被災者らは正社員での待遇を求めたり、以前の勤務先の再開を待ったりしている。建設業や水産業の現場は人手不足に頭を悩ませており、復興は難しい局面を迎えている。
 今月初め、岩手県釜石市のハローワーク。44歳の男性は仕事が見つからず、重い足取りで帰路についた。電子部品工場で働いていたが、工場が津波で流されて解雇された。失業手当は来夏まで受給でき、「家族のことや自分の年齢を考えると、定年まで働ける仕事を」とハローワークに通うが、「応募できる仕事がない」と頭を抱える。
 岩手労働局によると、岩手県内の有効求人数は、6月の1万9000人から10月はバブル期並みの2万4000人と右肩上がり。しかし、就職件数は6月の4700件から10月は3800件へと減り、求人増が就職に結びつかない状況が続く。
 ハローワーク釜石でも求人は増えているが、7割近くは期間雇用で応募の動きは鈍い。失業手当でかつての給料の5~8割が受け取れるため、担当者は「同じ程度の収入なら、働かずに良い条件を探したり、前の会社の再開を待ったりしているのだろう」とみる。

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