被災地で起業 疑似体験し学ぶプログラム始動

東日本大震災で被災した宮城県女川町を舞台に、地方での起業を疑似体験しながら学ぶ「創業本気プログラム」が始まった。参加者はワークショップなどでアイデアの見つけ方や資金調達方法、マーケティング、地域との関わり方などを身に付け、事業化につなげる。
同町のNPO法人「アスヘノキボウ」が運営し、町や町商工会などが協力。今月中旬から来年1月中旬にかけ、全4回ある。第1回は14、15の両日に町内で開催。ワイン醸造や飲食店経営などを模索する町内外の20~30代の男女5人がワークショップに臨んだ。
「駅のホームにある自動販売機の売り上げをどのように伸ばすか」をめぐり、5人が消費者の行動を分析。取り組むサービスについては参加者間で聞き取りをして利用者の受け止め方などを探った。
講師を務めた監査法人トーマツ(東京)盛岡事務所の嶋貫光一公認会計士は「想定外のアイデアを大事にしてほしい。新しい生き方を提供できるヒントがある」とアドバイスした。
震災後に東京からUターンし、仮設商店街でクラフトビールバーを営む木村優佑さん(32)らが実体験を語る場もあった。
5人のうち宿泊施設支配人の田中雄一朗さん(29)は「お客さんが望むことをより具体的に考えるようになった」と言う。明治大4年後藤大輝さん(21)は「国籍や人種の枠を超え、人と人が向き合える社会を実現するための仕事がしたい」と抱負を語った。
アスヘノキボウの小松洋介代表(33)は「女川町は『復興のトップランナー』と言われるが、人口減少が進む。町内で起業する人を増やすだけでなく、地方の良い点と課題を踏まえ、女川に関わる人を増やしたい」と話す。

タイトルとURLをコピーしました