山形県最上町のJR堺田駅前などで23日、「堺田分水嶺(れい)秋まつり」が開かれた。地元の農産物を扱う店に交じって、石巻市北上町の水産加工業「遠藤商店」と、仙台市太白区長町のパン店「おいしいパン屋さん」が初出店し、買い物客らと交流した。
東日本大震災の津波で作業場を流された遠藤商店は、ワカメや昆布など既に商品化していた海産物を販売。焼きホタテも人気を集めた。
おいしいパン屋さんは、最上と長町の交流のシンボルとなるホットドッグ「最長20センチドッグ」を店頭に並べた。材料に最上町の前森高原のソーセージを使っている。
昨夏に長町であったイベントに、両店と最上町民有志が出店した縁で知り合い、交流を育んできた。遠藤商店の遠藤さい子さん(52)は「温かい言葉が復興への励みになった」と笑顔で話した。
初めて訪れた仙台市宮城野区の会社員山下恭平さん(25)は「地域の特色を楽しんだ。隣県同士の交流が長く続いてほしい」と感想を述べた。秋まつり実行委の本間山田委員長(69)は「大変なときこそ、手を取り合って盛り上げたい」と語った。
地元住民が企画した秋まつりは6回目。奥羽山脈の水流が、太平洋と日本海の2方向に分かれる堺田駅前の分水嶺に、ちなむ。
◎宮城のサンマ200匹振る舞う/秋田
収益金を社会活動に役立てるフリーマーケットを運営する秋田市の市民団体「わらしべ貯金箱実行委員会」が22、23の両日、宮城県女川町で水揚げされたサンマ計200匹を無料で振る舞うイベントを同市大町2丁目で行った。
実行委の武内伸文代表(39)が、震災後にNPOの研修で知り合った石巻商高主幹教諭の宮浦靖次さん(53)=石巻市=から、サンマを贈ってもらった。両日とも午後2時から、炭火で焼いたサンマを市民に食べてもらったり、生のサンマをそのまま渡したりした。
23日にイベント会場に駆け付けた宮浦さんは「秋田の人に喜んでもらい、贈ったかいがあった。目黒のサンマならぬ『秋田のサンマ』と呼べるくらいに交流が深まれば」と笑顔で語った。
実行委は震災後、「被災地との絆」を目的に収益金を貯金し、約50万円をためた。支援第1弾として、宮浦さんとの交流をきっかけに、石巻市に太陽光で発電する街灯を贈る準備を進めている。
武内代表は「被災地のことを考える機会にしようと企画した。今後も被災地との絆を強める活動を続けたい」と話した。