被災地に再びにぎわいを「笑顔の花」壁画に

東日本大震災で大きな被害が出た宮城県山元町の被災前後の風景写真を飾る「みんなの写真館 ブリッジ」の壁画が完成した。再びにぎわいを取り戻すという思いを込めて東京芸大OBがボランティアで描いた壁面には、笑顔に見立てた赤や黄の花が咲き誇っている。
写真館は2014年、住民やボランティアが協力して、JR常磐線の旧山下駅前にある橋元商店の倉庫を改装してオープンした。芸大OBは今年4月から、本格 的に壁画プロジェクトの準備に着手。11、12の両日は、訪れた12人が間口5.6メートル、奥行き20メートル、高さ3メートルの大きなカンバスに大小 30の花をペンキで描き、完成させた。
写真館周辺は、震災後に建物の新築が制限される津波防災区域(災害危険区域)に指定されたこともあって人 口が流出。以前のように人が集う場所にしたいと願った橋元商店店主の橋元伸一さん(55)が、壁画のアイデアを同町の住職坂野文俊さん(53)に相談。坂 野さんが昨年、知人を通じて被災地で活動している芸大OBのイラストレーター斉藤みおさん(43)にプロジェクトを打診し、快諾を得た。
OBら は住民の思いを聞き、笑顔に見立てた花が海風に乗って集う様子をイメージしたデザインを決めた。「再び人が集まってほしいという住民の思いを伺い、お手伝 いしたかった」と斉藤さん。写真館を管理する橋元さんは「色に力強さがあり、被災地を明るくしてくれるはず」と喜んだ。

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