被災地の7年の変遷記録 仙台の市民グループが定点撮影写真集

東日本大震災の被災地を定点撮影している仙台市の市民グループ「3.11オモイデアーカイブ」が11日、同名の写真集を発行した。震災前の懐かしい風景や震災後の7年間で移りゆく街並みが写し取られている。

A4判、90ページで500部製作。仙台市や気仙沼市、南三陸町など県内60地点160枚を収録した。スタッフ7人が各地で撮影した現状のほか、市民から寄せられた震災直後の様子、震災前に住民が撮った風景を組み写真にした。
仙台市若林区荒浜では、震災前の深沼海水浴場の松林や路線バスと、震災後に松林がほぼ消えた風景を対比。東松島市のJR仙石線旧東名駅は、がれきが押し寄せた被災直後、線路の撤去作業、更地に雑草が生えたその後の風景の3枚を並べた。
スタッフによる座談会や専門家の寄稿も載せた。
写真集は仙台市のNPO法人20世紀アーカイブが2012~14年に発行した定点撮影などの写真集3冊の続編。オモイデアーカイブは16年、同NPOから震災関連事業を引き継ぎ、独立した。
昨年実施したクラウドファンディングで制作費76万円を賄い、追加撮影と編集作業をした。非売品で、出資者の一部に返礼品として送るほか、仙台市内の図書館などに寄贈する。
オモイデアーカイブ代表の佐藤正実さん(54)は「震災前や復興過程の各地域の姿は一部の人しか知らない。定点撮影することで、将来世代を含めた多くの人との共有財産にしたい」と話す。

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