被災地企業、32.6%が二重債務 負担軽減措置受けず

東北大大学院経済学研究科の西山慎一准教授(金融論)のグループは、岩手、宮城、福島3県と八戸市に本社を置く企業を対象にした東日本大震災関連のアンケート結果をまとめた。二重債務に関しては、回答企業の32.6%が抱えていることが判明した。いずれも負担軽減措置を受けておらず、西山准教授は「金融機関などによる早急な対応が必要だ」と指摘する。
 西山准教授らは(1)震災で固定資産が被害を受けた(2)震災以前の債務に対する軽減措置がない(3)震災後に新規借り入れを行った-の3条件を満たしたケースを「二重債務」と定義した。
 アンケートは債務に関する回答企業3654社のうち、1191社が二重債務に該当。内訳は沿岸770社、内陸421社となった。
 二重債務に陥っている企業の債務総額に占める新規借入額の割合は、全体平均で22.0%。地域別では岩手県沿岸が30.6%と最も高く、次いで宮城県沿岸25.7%、福島県浜通り22.1%の順。最も低いのは福島県会津の15.8%だった。
 これとは別に、債務の負担軽減について回答したのは3700社。うち軽減を受けていたのは793社(21.4%)にとどまった。被災した企業では約25%が該当した。
 ただ、軽減内容(複数回答)は、返済猶予532件、返済期間延長317件と条件変更が多い。債務減免はわずか8件にとどまった。
 アンケートでは、1年前と比較した7月時点の業況感も5段階評価で聞いた。普通を3とする指数の業種別は建設が0.27ポイント上昇の3.26、不動産業が0.11ポイント上昇の2.99。これに対して小売業は2.68で0.07ポイント悪化した。地域別では宮城の内陸と沿岸の改善が目立った。
 調査は7月、対象地域の金融業を除く3万社を対象に郵送で実施。23.4%に当たる7021社から何らかの回答を得た。調査の詳細は東北大さくらホール(仙台市青葉区)で21日に開催される地域産業復興調査研究シンポジウムで報告される。

タイトルとURLをコピーしました