東日本大震災で被災した宮城県石巻市中心部の松川横丁で27日、複合ビル「COMICHI(こみち)石巻」がオープンした。市街地の再開発が小規模でできる「優良建築物等整備事業」(優建)の同市適用第1号で、交流の場や新たなまちづくりの形として期待が高まる。
ビルは鉄骨と木造を組み合わせた一部3階で、延べ床面積約660平方メートル。総工費は約2億円。1階にすし、イタリアン、洋食の飲食店3店が入り、2、3階はシェアハウスや地権者の住宅などになる。
飲食店は地元にゆかりのある店主が経営。シェアハウスは7人用で、約6畳の7部屋と共用スペースがあり、5部屋が入居済みだ。
松川横丁にはかつて飲食店などが立ち並んでいたが、近年は駐車場や空き地が目立つようになった。震災後、地権者らはにぎわいを取り戻そうと再開発を決意。身の丈に合った、事業を早く進められる優建でのビル建設を選んだ。
地権者の一人で、ビルを運営するまちづくり会社の阿部紀代子代表社員は「新たなスタートに身が引き締まる。昔から住む人と、新しく来た人が交じり合う場にしたい」と語った。
この日はオープンを記念し、入居する飲食店と近くの飲食店が自慢の料理をパック詰めなどで格安販売。多くの人でにぎわった。